第3話 コミカライズもノベライズも舞台化もあるとストーリーが微妙に違って何が何だか
さて、ここで私はあることに思いを巡らせていた。
実はこのゲーム、そこそこ人気だったからか、ノベライズやコミカライズもされている。そして勿論ファンが買うので、それらもそこそこ売れたのだがそれはさておき。
ここで問題なのは、色んなストーリーがあるということだ。
ノベライズやコミカライズがゲーム本編で描かれていない詳細な設定を補完する場合もあれば、ストーリー展開が異なって、他の世界線のような描き方をされる場合もある。
このゲームもそうで、それぞれの媒体によって微妙に展開が違っていたりするのだ。
そりゃそうだ。
ノベライズでもコミカライズでも、乙女ゲーム特有の選択肢なんて出ないし。
そしてそれはこの現実世界でも然りで、ある程度今後の展開は把握しているものの、私もそれらが絶対とは言い切れなかった。
私自身の記憶も正直曖昧な部分があるしね。
今日帰ったら久しぶりに魔女っ子アニメのノートを読み返して、過去の記憶を辿ってみるのもいいかもしれない。
――だなんて考えてだらだら歩いていたら、どうやらひとりで体育館裏まできてしまったらしい。
はて、私は確かお手洗いに行ってくる、と真姫やクラスメイト達に告げてその場をあとにしたはずなんだけども。
こういうところが奇行だと言われる所以かもしれない。
戻るか、と踵を返したその時。
体育館の裏口付近から男子の話し声が聞こえてきた。
思わず息を潜める。
「等々力のやつ、1年のくせに応援団長とか生意気なんだよ。目立ちたがり屋かよ」
「だよな。部活でも俺等に向かって意見してくるし。ちょっとデカいからって調子のんなよって感じ」
……おっとぉ、これは聞いちゃいけないやつ。
この様子だと、等々力君は部活の先輩方からあまりよく思われていないらしい。
私の記憶だと、彼は爽やか脳筋スポーツマンなので、その明るさが鼻につく人もいるということか。
ゲームでもその他の媒体でも描かれていなかった裏の部分に、少し気持ちが重くなる。
嫌なところ知っちゃったな。
この後何にも無ければいいけれど。こういうことには関わりたくない。
私は今度こそ踵を返し、足早にトイレを求めてその場をあとにした。
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