第6話 プレゼント作戦

「買い物に付き合ってほしいぃ?」

「ああ、頼む!!」


 何故か転校生くんと買い物に行くことになった。いや、まあ何でこうなったかは想像付くよ。でもさ、それはそれとして転校生くんと買い物。


 大してそこまで仲良くないのに二人で出かけるの、気まずくね?まあ、断ったほうが気まずいし行くけど。行くけどね。











「ごめん、待った?」

「いや、俺も丁度今来たところだ」


 どこのカップルやねん。思わず自分の発言に突っ込んでしまう。心做しか薔薇の香りが……。いや、気の所為だ。


「頼んだ俺が言うのもアレだが。本当にここであってるのか?」

「あってるよ。ここなら、レンが好きなものを売ってるよ」


 事の発端はこうだ。転校生くんは体育祭の借り物競争のお礼をレンにしたいらしい。まあ、それを口実に何かプレゼントしたいだけな気もするが。


 だが、転校生くんは肝心のレンの好みを知らない。そこで幼なじみである俺に白羽の矢が立ったのである。


 ほんと、俺はなにしてるんだか。ライバルに塩を送る行為でしかない。これも下手なものをレンに渡されてレンががっかりするのを防ぐためだ。別に、転校生くんのために買い物に来たわけじゃない。全てはレンのためである。


 ──おいそこ、ツンデレって言うな。


「もう一度聞くけど、本当にこの店であってるのか?」

「だからあってるってば」


 俺たちがやってきたのはとあるお菓子屋さん。といってもケーキ屋のようなスイーツ店ではない。


「ここ、激辛菓子の店だぞ!?もっと菓子ならこう、甘いものとかじゃないのか?」

「レン、辛党だから。逆に甘いもんは嫌いだし」

「そうなのか。いやでも激辛を渡すのってどうなんだ……?いっそのことアクセサリーとか」

「レン、基本的には色気より食い気だから。あと、彼氏でもない男からのアクセサリーのプレゼントって下手したらキモがられそうじゃね?」

「む。たしかに」


 ということで店内に突入。


「何を選べばいいかさっぱりわからんな。うーん、これとかどうだ?」

「それはベースの海鮮にワカメ系が混じってるから駄目かも。それよりはこっちの方が」

「なるほど。助かる」


 そんなこんなで悩むこと一時間。どうにか買うお菓子を決定した。


「よし、じゃあ次はゲーセン行くぞ」

「ゲーセン?店ではなく?遊ぶのか?」

「まあ付いてこいって」


 転校生くんを引っ張ってゲームセンターへと向かう。そして、とあるクレーンゲームの機種の前で立ち止まる。


「このカブト虫のぬいぐるみ、絶対にレンが好きだと思うんだよな」

「……」


 あ、転校生くんが絶句してる。


「やっぱ、虫が苦手な感じ?」

「別に苦手なわけじゃ。足がたくさんあったり動きがわりと俊敏だったりでビビるだけで別に苦手じゃない」

「なんかごめん」


 さ、気を取り直してクレーンゲームにチャレンジするか。


「むっずいなこれ」

「そこのタグのわっかをねらって引っ掛けるとかどうだ?」

「うぉ、いけそう!お、いけるぞこれはいけ……。落下しちまった」


 挑戦することn回目。取ることには成功したが、疲労感がすごい。


「レンに渡すもんはこれくらいでいいんじゃないか」

「そうだな。ほんっとうに今日はありがとう。この恩は忘れねえ」

「そんな大袈裟な。なんだかんだで俺も楽しかったし良いってことよ」

「ならよかった」

「そんじゃまたな。バイバイ」

「嗚呼、また明日」


 転校生くんとの親密度が一上がった。かもしれない。

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