第198話
数日が経ち、シュタイナーが到着した。
「シュバルツ。元気にしていたか?」
「父様もご元気そうで」
「健康だけが取り柄だからな」
そう言えばシュタイナーが病気になった所を見たことがなかった。
「それで、この時期に王都にやって来たのは何故ですか?」
「うむ。お前には先に言っておこう」
「はい」
「お前を公爵家の継承権第2位とする」
本来であればシュバルツの継承順位はかなり低い。
別れ際にアルツェンには言われていたが実現する可能性は低いと思っていた。
「本気ですか?色々揉めそうですけど」
「私もそう思ったが他の子供達は納得しているからな」
これは兄妹達の総意と言うことなのだろう。
「この件は国王陛下に報告する。これでこの件は正式な物となる。お前にも一緒に行ってもらうぞ」
「わかりました」
リチャードが承認すれば他の親族は口を出すことが出来なくなる。
それだけ本気ということなのだろう。
王城に使いを出した翌日には迎えの使者がやってきていた。
シュバルツとシュタイナーはそのまま王城に登城する。
「お待ちしておりました。ご案内いたします」
案内してくれるのはいつもお世話になっている執事さんだった。
シュバルツとシュタイナーはそのままリチャードの執務室に通された。
「陛下。ご無沙汰しております」
「うむ。元気そうで何よりだ。それで急に会いたいとは何かあったか?」
「はい。本日は当家の継承順位に変動がありましたのでその承認を頂きたく」
「シュバルツがいるということは関係あるのだな?」
「その通りです。シュバルツを継承順位第2位としたく思っております」
「なるほど・・・。私としては問題ないが親族あたりは騒ぎそうだな」
「覚悟の上です」
「ならば私から言うことはない」
「ご了承いただきありがとうございます」
「そうだ。シュバルツに1つ仕事を頼みたい」
「仕事ですか?」
「回復薬を500個ほど頼めんか?」
「可能ですけど困っているわけではないですよね?」
「在庫がないわけではないがお主に勲章を授けただろ?能力を疑問視している連中への牽制にな」
「そういうことですか。わかりました。明日までに用意しておきます」
「明日までに何とかなるのか・・・。本当にお主には驚かされる」
材料自体は修行部屋の倉庫区画にいくらでもある。
錬金術は基礎はアルシェ姉様に習っていたのでなんとかなるだろう。
「バックアップをと思ったがその必要はなかったか」
「父様。お気持ちだけ受け取っておきます」
「そうそう。シュバルツよ。お前がくれたタルトは美味しかったぞ」
どうやらクラウディアに持たせたフルーツタルトをリチャードも食べたようだ。
「お口に合ったようでよかったです」
「では、明日またきます」
「うむ。待っておる」
シュバルツとシュタイナーはリチャードの執務室を後にして帰路についた。
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