第194話

シュバルツが起きると顔を覗き込んでいるクラウディアと目が合った。

「おはよう・・・?」

どうやらいつの間にか眠ってしまっていたようだ。

「おはよう。寝てるシュバルツもいいけど起きてるシュバルツも好き」

「ありがとう」

「お腹空いた。ご飯食べにいこ」

「うん」

シュバルツとクラウディアは部屋を出る。

するとメイドさんが待機していた。

「おはようございます。食事の準備が出来ておりますよ」

「ご飯~。ご飯~」

クラウディアは上機嫌でそう繰り返す。

メイドさんに案内されて食堂に移動するとすぐに料理が運ばれてきた。

サラダにパンに肉と野菜がごろごろ入ったスープだった。

昨日もそうだったが王族と言えど普段は質素な生活をしているようだ。

普段、シュバルツ達が食べている料理と使われている食材は変わりなかった。

食後にお茶まで出してもらってシュバルツは寛いでいた。

そこにお世話になっている執事さんが顔を出す。

「シュバルツ様。国王陛下がお呼びです」

「陛下が?わかりました」

「ご案内します」

「シュバルツ行っちゃうの?」

「うん。陛下からの呼び出しを無視するわけにはいかないからね」

「また、遊びに行くからね」

「わかった。美味しい物を用意して待ってるね」

クラウディアと別れ前にも訪れたリチャードの執務室に案内される。

執事はノックしてから来訪を告げる。

「国王陛下。シュバルツ様をお連れしました」

「うむ。入ってくれ」

シュバルツが入室するとリチャードは難しい顔をしていた。

「陛下。何かありましたか?」

「うむ・・・。あったと言えばあったな。まぁ、かけてくれ」

シュバルツがソファーに腰をかけると陛下も対面に移動してソファーに腰をかける。

「お主。自分が何をしたかわかっておるか?」

「えっと・・・。思い当たる節がないのですが」

「クラウディアと一緒に寝ただろ?幼いとはいえ未婚の王族の娘と寝て問題にならないわけがないだろう」

「なるほど・・・」

シュバルツとしてはクラウディアの我儘に付き合っただけの認識だったのだが貴族の社会では大問題となるわけだ。

「なるほど。ではないわ。幸い、このことを知っているのは少数だ。世の権限で口留めはしてある」

「ありがとうございます」

「それで、シュバルツとしてはどうなのだ?」

「どうとは・・・?」

「クラウディアを嫁に迎えるつもりはあるかと言うことだ」

「クラウディア様はとってもいい娘です。ですが、自分が結婚となると実感がわきません」

「その歳ではそうだろうな。今回は問題にはせぬ。が、クラウディアがお主のことを好いている。そのことは頭の隅に入れておいてくれ」

好かれているのは嬉しいが今はまだ、戸惑いの方が大きかった。

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