第193話
パーティーの開始時間前となりクラウディアが訪ねてくる。
「どうでしょうか?」
パーティードレスを着たクラウディアは普段とは別人のようだ。
顔もうっすらと化粧を施されている。
「とてもよくお似合いです」
「ありがとう」
「では、そろそろ移動しよう」
サイファーに促されて会場へと移動する。
パーティー会場には既に招待された貴族達が待っていた。
サイファーは堂々と部屋の中を歩きシュバルツとクラウディアもその後に続く。
一段高い位置に上るとサイファーが口を開く。
「皆の者。よく集まってくれた。今宵は新しい仲間を紹介しよう。先の謁見で見知っている者も多いとは思う。シュバルツ・フォン・クロイツェンだ」
「ご紹介に預かりました。シュバルツ・フォン・クロイツェンです。若輩者ではありますがよろしくお願い致します」
会場には拍手が鳴り響く。
「ささやかではあるが料理と酒を用意した。楽しんでくれ」
サイファーはこう言ったがシュバルツの前には挨拶のために貴族が列を作り並んでいる。
シュバルツは挨拶をしつつ1人1人の顔と名前を覚える作業に追われた。
隣ではクラウディアが微笑んでいる。
少し離れた位置でサイファーも派閥の貴族と会話していた。
結局、シュバルツはパーティーが終わるまで貴族の相手をし続け料理を口に運ぶことができなかった。
別室に下がりサイファーが労ってくれる。
「シュバルツもクラウディアもお疲れさま。料理を用意させてあるから食べるといい」
「流石に疲れましたね」
肉体的には余裕だが精神的にかなり疲労を感じる。
隣を見ればクラウディアは眠そうだ。
サイファーはその様子を見て苦笑いする。
その間に使用人達はてきぱきと動き配膳を整えてくれた。
メニューはステーキにスープに柔らかいパンだった。
変に凝った料理より今は食べなれている料理の方がありがたい。
食べなれているが1つ1つの完成度はとても高かった。
料理人の腕の違いだろう。
料理を食べ終えた頃にはクラウディアはうとうとしていた。
「シュバルツ。悪いけどクラウディアを部屋まで連れていってもらっていいかな?」
「構いませんけど」
「うん。それじゃ頼んだよ」
シュバルツは使用人に案内されつつシュバルツの服を掴んで放さないクラウディアを連れてクラウディアの部屋に向かった。
「クラウディア様。部屋につきましたよ」
「うん・・・。シュバルツも一緒に寝よ?」
「流石に女の子の部屋で寝るのは・・・」
「嫌なの?」
そう言って下から覗き込む顔は今にも泣き出しそうだ。
「はぁ・・・。わかりました。少しだけですよ?」
シュバルツは諦めてクラウディアと共にベッドに横になる。
思っていたより疲れていたのかシュバルツはいつの間にか眠ってしまっていた。
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