第103話
ミミは弾かれた勢いを利用して距離を取る。
マーセルは振り返り様に大剣を振るう。
斬撃が飛びその斬撃はミミをとらえていた。
「ふぅ・・・。ここまでだな」
マーセルは構えをときシュバルツはミミに駆け寄る。
幸い大きな怪我はなかった。
シュバルツはミミに回復魔法をかけ治療する。
「ほう。回復魔法も使えるのか」
マーセルは感心したようにそれを見ていた。
「次は私だよ」
シズノはそう言って槍を構える。
ミミがやられたことによりやる気は十分のようだ。
「お手柔らかにお願いするよ」
口ではそう言っているのにマーセルには隙がない。
シズノは槍のリーチを生かして遠くからマーセルを攻めていく。
それを見てシュバルツは感心する。
扱いにくい大剣を使っているというのにまるで手足のように扱う。
シズノは緩急をつけているのにそれにも上手く対応している。
残念ながら今のシズノでは勝てないだろう。
シュバルツの予想通りにマーセルが大剣を一振りするとシズノの槍が空を飛んだ。
「あぅぅ。負けちゃった・・・」
「いやいや、そこまで出来たら上出来だ。これでも伊達に元Aランクの冒険者じゃないからな」
「次は、私ですか?」
「いや、騎士の嬢ちゃんは冒険者登録してないだろ?」
「そうですが・・・」
フランが冒険者登録していないのにはわけがある。
公爵家の騎士をしている立場で冒険者というのはいささか風聞が悪い。
していることは冒険者とかわらないがフランの立場はシュバルツの護衛をしているという形なのだ。
「では、僕ですね」
シュバルツはマーセルの前に立ち剣を構える。
「おう。いつでも来い」
シュバルツは剣で挑むつもりはなかった。
今の自分よりマーセルの方が間違いなく剣技では上だ。
魔法を多重詠唱しそれを無詠唱で放つ。
属性は火、水、風、土、そして無属性だ。
色とりどりの魔法が次々にマーセルを襲う。
「おいおい。洒落になってないぞ」
マーセルは次々に襲いかかる魔法を器用に大剣で弾いていく。
魔法の迎撃に集中しているマーセルの背後に高速で回り込み発動の早い雷魔法を打ち込む。
マーセルはそれにも反応したが残念ながら雷は大剣では防げない。
雷はそのままマーセルの体に伝わる。
目の前には痺れて動けないマーセルがいた。
シュバルツはゆっくり近づきマーセルに剣を突きつける。
「これで、僕の勝ちですね?」
「あぁ・・・。まいった・・・。こんな餓鬼に負けるとはな」
そう言ってマーセルは苦笑いしていた。
見守っていたミミとシズノは自分のことのようにはしゃいでいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます