第104話

場所を組合長室に移して話し合いが行われていた。


「ふぅ・・・。酷い目にあったぜ」


「回復魔法を使ったではないですか」


「まぁ、そうなんだがな。結論としてはお前らは合格だ」


「えっ?私達、負けたのに?」


「元Aランク冒険者相手にあれだけ動ければ十分だ」


「それである依頼というのは?」


「盗賊の討伐だよ。ここから先、指名依頼も増えてくる。魔物を倒せても人を倒せないじゃ話にならないからな」


「なるほど・・・。ちなみに生死は問われますか?」


「生きてりゃ犯罪奴隷として引き取ってくれるだろうが手間を考えたら殺した方が楽だぜ」


捕まえた位置にもよるだろうが盗賊を引き連れて街まで移動するのは確かに大変だろう。


「それでどうする?」


「引き受けます。民を襲う盗賊は公爵家の人間としても放置できませんし」


「話が早くて助かるよ。盗賊共が出てくるのはこの辺りだ」


マーセルは粗末な地図を出してある場所を指さす。


「マールタル王国に向かう街道ですか」


「軍に商品を売りつけようと向かった商隊のいくつかが襲われたって話だ。そいつらは護衛をケチったらしい。数はそんなに多くなかったとの報告がきている」


「シュバルツ様。どうしますか?」


「放置するわけにもいきませんし受けようと思います」


「わかった。手続きはこちらで済ませておく」


「すぐに向かいましょう。お爺様には話を通しておいてくださいね」


「それぐらいはしといてやるよ」








シュバルツ達はすぐに盗賊の出る場所に向かった。


移動手段は徒歩である。


騎士であるフランは馬に乗れたが他3名は馬に乗れなかったためだ。


機動力を考えれば馬にも乗れるようになった方がいいのかもしれない。


今後の課題といったところか。


途中、高貴な方が乗っていると思われる馬車と少数の護衛に追い抜かされた。


盗賊が出るという地点の手前で1日野宿をする。


交代で休み十分に体力を回復させる。


シュバルツ達が朝食を終えてから盗賊の出るポイントに向かうと戦闘中だった。


見守っていても仕方ない。


シュバルツ達は参戦する旨を声に出し討伐に加わる。


護衛達の腕は確かでシュバルツ達の出番はほとんどなかった。


馬車に描かれた紋章を見てシュバルツとフランは頭を下げる。


それを見てミミとシズノは慌てて頭を下げた。


馬車に描かれていたのはこの王国の王族を示す馬に鷹を組み合わせされた物に剣がクロスされた物だった。


剣がクロスされたこの紋章を使えるのは国王か王太子のみである。


こんな所で雲の上の人に出会うとは思ってもいなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る