第102話

いつものように換金したシュバルツは受付嬢に呼び止められていた。


「申し訳ありません。組合長がお話をしたいとのことです」


「わかりました。今、仲間を呼んできます」


シュバルツは酒場にいたパーティーメンバーを呼んできて受付嬢の後を追いかけた。


受付嬢は奥へと進み階段を上がっていく。


3階の奥の部屋につくと扉をコンコンと叩いた。


「入ってくれ」


「失礼します」


シュバルツ達もその後に続く。


「わざわざ呼び出してすまなかったな。私は組合長をしているマーセルだ」


「いえ」


「そこにかけてくれ」


部屋の真ん中にはソファーが置いてありシュバルツ達はそこに腰かけた。


受付嬢はお茶を出して部屋を出ていく。


「今回、呼び出したのは昇級の件だ」


「昇級ですか?」


「君達は既にCランクに上がれるだけの実績は積み上げていたんだがオグワール殿の意向で待ったがかかっていたんだ」


ここでお爺様の話を聞くことになるとは思わなかった。


でも、気持ちもわかる。


順調に昇級していけば実家の方にも話がいくだろう。


そうすれば命を狙っている相手が焦って何かしてくるかもしれない。


「話し合った結果なのだが私と模擬戦をして勝つこと。そして、ある依頼をこなしてくれれば昇級させることになった」


パッと見ただけならマーセルはかなり強いだろう。


それだけのオーラを放っている。


「模擬戦は今からでも?」


「いや、君達も迷宮探索の後で疲れているだろう。明日の朝きてくれ」


「わかりました」


「依頼の件は模擬戦の後に話す」


話は終わりのようでシュバルツ達は組合長室を後にした。


城に戻る道でミミとシズノはやる気に満ちていた。


Cランクともなれば一端の冒険者だ。


夕食の後、シュバルツの部屋に集まり明日に向けて模修行部屋にて擬戦を行うことにした。


今回は恩恵ポイントを消費してシュバルツは武神のアシストを受けて3人と戦い続けた。


一定の成果が出たところで修行部屋を出て眠りについた。








朝食を食べ朝一で冒険者組合を目指す。


受付で手続きをして地下へと降りる。


組合長であるマーセルは既に準備が出来ていたようで模擬戦がはじまった。


対戦形式は1対1でまずはミミが戦う。


ミミは短剣を2本構えフェイントを混ぜながら果敢に攻めていた。


マーセルはフェイントに引っ掛かることなく大剣を器用に使いミミを牽制する。


ミミはアクロバティックな動きで背後を取るがマーセルはあっさりと対応してみせるのだった。

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