第101話
リリアーヌが生まれて1か月経った。
季節はすっかり春だ。
マールタル王国との戦争はまだ続いていた。
とはいえ、公爵領ではすっかり戦勝ムードが漂っている。
大規模な野戦で快勝してマールタル王国の首都まで攻め込んでいるからだ。
各地で抵抗はまだあるそうだがこのままいけばこちらの勝利は揺るぎないだろう。
シュバルツ達は今日も迷宮に挑み実績を積み上げる。
異空間での修業も続けておりステータスも順調に伸びている。
異空間といえば森と鉱山をランクアップさせてGランクにあげた。
その結果、色々採取出来るものが増えた。
それと同時に岩塩地帯のG-(Gマイナス)も取得した。
これはクロに頼まれたからだ。
少量であれば他の世界から流しても問題なかった。
だが、戦争の支援物資として大量の干し肉を作ろうとしたら止められたのだ。
塩は人間が生きていく上で必須の物だ。
通常であれば人が摂取した塩も循環している。
その循環を壊せば後々、問題になりかねない。
というわけで岩塩地帯を作るから取ってくれと言われたのだ。
クロは気遣いの出来る神様なので人手は出してくれた。
というわけで、今シュバルツの異世界では様々な保存食も作られている。
元々、迷宮都市アリスでは迷宮から魔物の肉が取れるのでオグワールはやり手の冒険者から買い取って加工していると嘘の情報を流して出所を誤魔化してくれている。
価格も抑えている為、各方面から突っ込まれることもない。
とはいえ、いつまでも誤魔化せるものではないので早期の終戦が待ち望まれる。
パーティーメンバーの3人もリリアーヌの可愛さにご執心だ。
産着やら遊び道具やら色々買ってきてはリリアーヌを構いにいっている。
シュバルツも時間があれば構いにいくので人のことは言えないのだが・・・。
母親であるマリアンヌの産後も順調だ。
シュバルツはこっそり城の料理人に栄養のある食料を渡したりしている。
オグワールは気付いているはずだがあえて何も言ってこない。
料理人も城に仕えて長いので出所は聞いてこない。
そんな折、シュバルツの元に1枚の手紙が届いた。
差出人は離れて暮らす兄妹達からだった。
手紙には新しい家族に早く会いたいだとか最近起きた出来事が書かれていた。
母親達には内緒で出した手紙なので返信は不要だとも書かれていた。
手紙も自由に出せないのは不自由であるが家族の温かさを確かに感じたのであった。
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