第4話

 人類とEISとの戦争は人類の勝利で幕を閉じた。

 それを祝福して、今まで戦ってきた全機動隊員たちを祀るお墓がとある島に作られた。

 一人の女性がその島にやってきて、一つの墓の前に花を添えた。両手を合わせ、深くお祈りをする。


「マーくんのおかげで今、平和が保たれているよ。本当にありがとう」


 女性は涙ながらに『真藤之墓』と刻まれた墓石に訴えかけた。彼女の表情は笑顔ながらもしんみりとしている。


「でもね、あなたが死んでしまったら、私としてはなんの意味もないのよ」


 耐えきることができなかったのか、女性は墓石の前にしゃがみ込むと抑えきれない涙を大量に流した。それから長時間、そこでひたすら泣き続けた。


 ようやく獲得した『平和』。だが、『犠牲』は想像以上に大きいものだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

【短編】たとえこの身が滅びようとも 結城 刹那 @Saikyo-braster7

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ