冬は音無

冬は火の粉と 君はいう

僕は黙って首を振る


違うよという声さえも

白く呑み込んでしまうから


窓の外がまっ白に

昨日までの世界を覆い隠して

凍てついた優しげな表情は


振り返ることを否定する


耳鳴りのような後悔を

色濃く残る選択を

厳しく諌める寒さでもって

柔らかい綿を敷き詰める


僕の全てを呑み込んで

君の全ても覆い尽くして


吐息が白く糸を引き

緊張を慎重に結びつけて


一歩を外に踏み出せば

初めて歩みの音が鳴る


踏みしめる 音の道

新しき道 ありますようにと



冬は音無



君が創る

再生の音




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