僕は土の道をいく

ずるずると引きずったお椀の舟


勇敢に渡ったつもりの荒海の

飛沫がしょっぱくないことに


途方もない水平線が

小づちひと振りの奇跡によって


一歩の小川だと知るのなら



僕は変わらぬままでいい



春の風の悪戯も

夏の透明な色どりも 

秋の夜長の演奏も

冬白雪の画用紙も


目線の高さじゃ変わらない


なら小さくても良いかなと

ひとひらの朝露を飲み干して


せめて足あとくらい隠すように

ずるずると お椀の道を刻んで進む


一寸でも

四季折々を謳歌する





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