秋は夜

秋は枯葉と 君はいう

秋は夜だよ 僕はいう


色とりどりに染まった山が

月明かりだけの化粧になって


揃いのスーツの虫たちが

花より多くの音色を産んで


寂しさだけは消えないけれど

お別れはそこにあることを

思い出させてくれるから


細く揺れない 笛の音も

かすかに遠い 鈴の音も

凛とひっぱる 弦の音も


月には届かないけれど


しめし合わせなくても解る

互いが描く五線譜の

奏でる時間が枯葉と飛んで


終演が交わらないのなら


せめて明日の朝までは

夜の調べに目をつむり


いつかが来たならその秋の

もみじに僕の手を重ね


調べにひとり 月を見上げて

秋は夜だと 呟こう



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