夏は水

夏は虫だと 君はいう

夏は水だと 僕はいう


得意気な雷雲と

叩きつける雨 稲妻が


全ての色を奪うから

全ての音を隠すから


一夜の乱暴な演奏会は

夜明けとともに片付けをしても


熱狂を遺す 窪んで乾いた水たまり

植物たちの流した興奮の汗のにおいは


寝不足でも早起きな

夏の朝日は誤魔化せない


まぶたの重い

億劫そうな入道雲に


スッキリと澄まし顔な水色空は

シャッキリ小川の冷水さし出して

まだ顔も洗ってないのに

もう夕方の話をする


せせらぎの笑い声と

うんざりとした陽炎は


君と僕の休日みたい?

それは僕に失礼かもね


陽射しに頬を赤くした君に

悪戯のつもりの打ち水が


宝石になり

呼吸がとまる


静かな一枚の喧騒になる











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