一寸法師は四季折々の音を聴く

春は風

春は花だと 君はいう

春は風だよ 僕はいう


銀の世界をひと撫でし

暖かな息吹が彩りを呼ぶ


優しい顔に見えるでしょう

手をひき誘う紳士のように

日向に眠る淑女のように

雪解け 光の魔法だね


でも君は知らないだけ


春風の悪戯を

飽きっぽい季節の儚さを


山の木々の桜色も

通学路にゆれるたんぽぽも

行き道に沿う三色つつじも


ごうと豪快に笑い飛ばし

風の腕でさらってく


春は花だと 君はいう

春は風だと 僕はいう


慌ただしく 通り過ぎていく季節

ざわめき浮き足立たないように


風の隙間の

君の声に耳澄ます






 



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