袋鼠の3つのあしあと

ちょっとした円の連なりは

夕方の児戯の忘れもの


木の枝で描かれた

並んだ円と

ひとつの円

くっつき長くヘビのよう


帰りをごねる童らの

動物園の出口前


跳ねるように

走るように

渡る速さを競ってた


わたしを観にきた子どもたち

わたしを忘れて笑ってた


ぴょんと跳んで

うさぎのように

パッととまって

タカのよう


跳ねることならお手のもの

きっとあの子らより早く

わたしは渡ってみせましょう


わたしの住処のはしとはし

風のように走り抜け

振り返ったら両脚と

しっぽを足した三本足


きっと円は消えるでしょう

それでも速いと驚いて


童はわたしを見るかしら

わたしを真似たりするかしら





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