トノサマ
土煙を巻き上げて
全身全霊をかけて跳ぶ
小さな体躯の何倍も舞い
世界を縮めるゼロコンマ数秒
付き従う者はなく
石のベンチを城として
明日の領土を求め生く
清流の繁栄と
燃焼の刹那を合わせ持ち
紫電にも 弾丸にもなれる彼は
一国 一城 ひとりの主
自身の得手を貫いて
高く高く
踏みしめて生く
言葉も知らぬ
意思も知らぬ
歩む時間も 姿も違う
けれど
あのトノサマの生き様を
私は確かに知っている
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