ごみの山の価値

弘法も筆の誤りなんて

偉く賢い人でも間違うのなら


考えることの苦手な自分は

どれだけ書き直せばいいだろう


待ってくれた人も

追いついてきた人も


いつの間にか居なくなって


追い抜いて行ったのか

諦めて帰ったのか


気づかないままやり直す


いつの間にか

自分の隣に山ができて

それが全部ごみだと気づく


一貫性のあるごみは

不器用さの象徴で

自分を貫いた強さでもある


けれど ごみはごみだと

ちゃんと理解はしているつもり


息吹に飛ぶ消しカスか

燃えれば残らぬ紙くずか

なれの果ての粘土つちくれ

奏でられない音の束


木登り上手な猿さえも

滑り落ちるごみの山


未完で無冠の無残な夢と──


色を帯びない塵が積もり

自分だけを投影する


山積した自己の頂が

いつか誰かの目に止まり

見上げてくれたらそれでいい


沢山の目を求めるのは

贅沢ものだと笑われても

気に留まるならそれでいい


持たざる自分が重ねる価値ごみ

いつか宝と間違う日まで


苦手を一途に想いを込めて











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