カンガルーとバッタはけんけんぱが苦手

はじめの一歩がこわくても

透明で無限の未来が

可能性って文句で飾られて

ご立派な額もないくせに

良いものだって皆が笑う


手招きしている観客は

もう向こう側を知る先達せんだつ


熱さは喉元だけだから

過去は忘れるものだからと


透明で綺麗な未来あすとして

都合の良い美化ふたをする


あなたの昨日は

僕の明日

みんなの既知は

私の未知


踏み出しあぐねた右足は

つま先の跡が深くなる


はじめの一歩の呼吸くらい

囃し立てずに見ていてよ


石造りの橋も

レンガの家も


いつかは朽ちるものだから

百年前も 千年後も

こわいものは怖いのさ



かく言うこの世は横スクロール

ジャンプアクションさながらの

ゲームとそこまで変わらない


行けば戻れず 壁が迫って

制限時間は早鐘を鳴らす


笛を吹いても

羽根を投げても


ワープなんかはしてくれない


通り過ぎたステージは

後戻りなんてできなくて


あの頃は良かったなんて

まだ言いたくないから前を向く


僕の今日は

誰かの明日

あなたの一歩は

誰かの轍


怯えて遺したあしあとも

くっきりとした道しるべ


はじめの一歩の大きさは

比べるなんて馬鹿馬鹿しいね


勇ましくても 震えていても

踏み出すことは同じこと


ガラスの橋も

水晶の王宮も


割れる時が来るからさ

五センチも 一メートルも

仕方がないでもいいからさ


その内気づくさ

一歩一歩 


きみの足が進むたび

次の一歩もはじめの一歩


怖くたってしょうがない

ずっと初めての瞬間で


同じ自分は居ないから










  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る