多面体

二十面のダイスが好きだった

無機質な四角だと思っていた物が

透明な宝石にもなれると知ったから


真っ白に穿たれた紅一点の

吉凶を決めるのは自分だと信じて


一歩踏み出した先の

激流に 流砂に 

自分の甘さと無知を知る


独りで生きられるのなら

ダイスが生まれることはない


けれど

賽を振らずに生きられるほど

自分の足元は硬くない


幾通りもある結末の

そのどれもがきっと不正解で

ならどれも正解と同じだと

振り返れば一本道


自分の価値を決めるのは自分

でもあなたの時もある


与えられた選択肢が

投げられるほど面があればいいな


握ったままの子どもも

投げるなと怒る大人もいる


けれど

その手にダイスはあるから


あなたは どうするだろう








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