鳴らす
食器を叩き割る食器
白磁器よりは強い銀
スープにつけると色が変わり
命よりも賢いスプーン
いまこの時は一本のバチ
文字も楽譜も読めないけれど
響く音色は知っている
いつか来た踊り子の
鈴の音 靴の音 刻むよに
カチ カチ カチリ
キン キン ガシャン
並ぶ料理の皿を割る
愚かと
ため息混じる侍女たちの
宴席の賑わいを割り砕く
誰かが願う命の価値は
自分自身の値打ちにあらず
重く飾った頭上の冠
背を預けたる椅子のもの
ひと
手足の生えた利用価値
何も学ばず生きてきた
たった一つの実感を
喋れぬ瞳で教えよう
冠の価値と 重さと痛み
蔑む目には 嘲笑の音を
憐れむ瞳に 冷笑の音を
甘露の毒に
愛する言葉に涙の音を
匙すら握れぬ学びの日々の
見ることで識る心たるなら
銀のスプーンよりも映る
そなたの鏡面たると知れ
そなたの思惑を写し鳴らす
水面の太鼓たると知れ
鳴らす 鳴らす
ひと匙の価値
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