第5話 <東大出は幸福か>
私の商社時代には、会社に東大出の方が何人かいらっしゃいました。 東大の経済を首席で出て、「銀時計」というあだ名で呼ばれていた人、哲学科出身でコンピューターのソフトエンジニアになった人(2人)、文学部出身で会社の財務部に配属され、30台になって公認会計士の資格を取れと上司に言われ、仕事の合間に勉強していた人。
彼らは、彼ら自身が意識する・しないに拘わらず、「東大」という肩書きを外し「素の人間」として生きたい、という願望があったようでした。
大学から銀時計を貰った方は、営業マンとしてはうまくいかなかった為、海外国内あちこちの子会社に廻されて便利屋のように使われていましたが、「東大閥」だとか「上級国民」という箍(たが)(窮屈な世界)から外れ、趣味はパッチワークなんて言いながら、楽しく生きていらしたようです。
因みに、アメリカの或る取引先企業に「ハーバード大学のビジネススクールを首席で卒業した」という男がいました。ある時、私が「君は良い学校を出たのに、エッソとかIBMとかでなく、なんでこんな小さな会社(従業員30人)に勤めているの ? 」と尋ねました。
彼曰く「アメリカ社会とは決して平等ではない。大きな会社へ行くにはコネが要るのだ。」と。
アメリカでは「東大」のように、名前だけではブランドにはならないらしい。お金持ちになる為に実力は必要だが、その実力を生かす為にはやはりコネ(金)が要る、ととは、やはりアメリカはアメリカ、お金持ちしかお金持ちになれない社会なのです。
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