第55話 フリージア リスタート


ルミナスさんやカルミーさんは買い物に出かけている。


恐らくは、気を使ってくれたのだろう。


「目が覚めたか?」


「ええっ…」


しかし、改めて見ると随分窶れているな…服もくすんで見えるし。


「それで、これから本当にどうするんだ?本当に俺の妻になる気なのか?」


「ええっ、リヒトが、その良いなら…」


「お前、本当に俺で良い訳?リダやミルカなら解かるよ? だけど、フリージアは最初からカイトが好きだったし、カイトだって多分一番好きなのはフリージアだった筈じゃ無いのか?」


「そうね…今思えば私は子供だったのかな…多分、そういう事だと思うのよ…ただ、顔や容姿に憧れ、その人の本質を見抜いて無かった…その結果が、これよ…」


「いや、それは誰でもそうじゃない? 未熟な所をお互いがカバーして補っていって、成長すれば良いんじゃないか? カイトだってフリージアが傍に居れば変わるよ…まだ、子供なんだから仕方ないと思うよ」


「あいつはもう駄目! リヒトが…その私を押し倒した後、あのクズはなんて言ったと思う!」


「え~と…俺の事怒っていた?」


まぁ自分の恋人を押し倒したんだ、怒っていて当たり前。


本音を言えば1~2発は殴られるつもりだった。


「それなら良かったわ!だけど、あの馬鹿は『フリージア...お前、何で泣き喚いたの?何がきゃぁぁぁーだよ、嫌がりやがってふざけんなよ!』だって…あのまま私がリヒトに抱かれればリヒトは戻って来たのにって、散々怒鳴られたわ!その挙句『お前のせいでリヒトが手に入らなくなったんだ』って皆んなして仕事を押し付けてくるのよ…リヒトに私が抱かれても構わない…その時点で恋人じゃないわ」


「え~と…」


あの馬鹿、なにやっているんだよ…


それじゃ愛想つかされても仕方ないだろう…


「だから、もうカイトとの仲はおしまい…リダとミルカとの友情もね!カイトとは終わり!だから、リヒトは気にしなくていいのよ!」


「本当にそれで良いのか?」


「ええっ…多分、私、ううん、リダもミルカもカイトとはきっと無理だわ…言い方を変えれば全員、男みたいな物なのよ」


「なに、それ!」


「三人とも家事は出来ない…だけど、リダは剣聖だから冒険者や傭兵に向いているし、ミルカは賢者だから学者向き、私は治療院やヒーラーで働ける…私達に必要なのは家事が出来て私達をサポートしてくれる、まぁ主夫みたいな存在だけだわ…だから、もしカイトが勇者じゃなくて農夫として生活してもきっと破綻したと思うのよ!だからお互いにカバーできる…そういう相手というのならリヒトだわ」


「そう…」


「そうよ…」


「それがフリージアの結論ならそれで良い…だけど…」


「はいはい、あのおばさん二人が妻なのよね!二人と仲良くして…そして、暫くは様子見…そういう事かしら?」


「それで良いなら…良いよ」


「仕方ないですね…そこから始めるし、頑張るしかないのよね…解ったわ」


2人が言っていた事は…多分こう言う事なんだよな。





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