第49話 待っててね...

あの日から私の生活は変わってしまった。


三人は、私がまるで悪い事したような目で見て来る。


「フリージアのせいで、こんなまずい飯食わなくちゃならないのか...ハァ~」


「さぁ武器の手入れしなきゃ、あ~あ、フリージアがとっちたせいで…全くもう」


「報告書ちゃんと書かないとお金減らされる...今日も徹夜かな」


なんでこんな嫌味言われなくちゃならないの?



「皆、言いたい事あるなら言いなさいよ!」


「お前が、あそこでリヒトを受け入れなかったせいだろうが…」


「そうだよ…あそこでフリージアが失敗しなければ、美味しいご飯に衛生的な生活全部元に戻ったのに…全部フリージアのせいじゃん!」


「本当正義感ぶって…計画通りにしなよ」


「それなら、なんであの時、その場にいた訳、空気位読みなさいよ!三人が止めなければ良かったんでしょう? 私、覚悟していたわ」


「「「...」」」


バカじゃない。


自分達の事を棚に上げて。


◆◆◆


もうやってられない。


クソ勇者にクソ剣聖にクソ賢者...あんた達なんか要らないわ。


リヒトが去ったのが今なら解るわ。


本当に碌でもないわ。


ねちねち煩いのよ。


幼馴染だから許されるなんて思わないでバーカ。


大体、私は...


『…良いよ…そこ迄いうのなら…もう』←


ほら、ちゃんと受け入れていたわ。


空気を読んで三人がその場を立ち去れば良かったのよ...


それを、全く...


大体、私は聖女。


魔王討伐以外にも生きる道はあるわ。


こんなパーティ捨ててやるわ。


◆◆◆



今、私は冒険者ギルドにきています。


良く考えたら、あんなバカでアホな奴ら見捨てて1人になった方がマシだわ。


もう大嫌いだから…三人で魔王と戦って勝手に死んじゃえば良いんだわ。


どう見ても、勝てないわ。


きっとリヒトもそれが解っているから去ったのよ。


国に対する離隊届けOK。


ギルドに対する離隊届けOK。


教会に対しての離隊届けOK。


もうこれで終わり…私はサブリーダー扱いだから、離隊届けは決済なく提出出来るのよ。


更にある路銀も1/4は私の物にするサインもOK。


これで準備万端。


わたしは軽やかな足でそれぞれの場所に書類を提出した。


◆◆◆


「フリージア殿、聖女を辞めてどうなさるのですか?」


教会でこう言われる事は解っていたわ。


「救世聖女の道を行く事にしました! 勇者カイトは怠惰な道を選び恐らくは魔王に負けるでしょう...それなら袂をわけ、人を救う救世を行った方が世の為になります」


「救世ですか...それなら構いません。頑張って下さい」


救世聖女とは魔王討伐ではなく、世の中の病や怪我で困っている人を救う聖女の事だわ。


これはこれで『教会の言う素晴らしい事』なので文句はない筈です。


あっさりと通ったわ。


◆◆◆



「自由―――」


う~ん最高…


押し倒した位だし、きっとリヒトは私の事が好きなのよね。


三人の中で私を選んでくれたんだもん。


まぁ、あまりに酷い告白だったけど...


そこは今迄、散々酷い事をしていたんだから仕方ないわ。


『好き』これが重要よね。


あの三人との生活よりリヒトとの生活の方が、楽しいに決まっているわ。


冒険者ギルドで、愛しのリヒトの居場所も聞いたし、あとは直撃あるのみだわ…



聖女って立場なのに…リヒトをあんな恥ずかし状況で受け入れていたのよ…


今になって見れば解かる…私は…リヒトが好きなんだって…


待っていてね…リヒト…今度は拒まないからね…



さて...これからリヒトの所に行かないと...


待っててねリヒト。







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