第48話 勇者SIDE ゲスを超える者
ふう~ようやく片付いた。
例え、どうでも良い奴でも幼馴染…ここ迄するのは流石に心が痛かった。
だが…これしか方法が無かった…
他の理由をつけて断っても、きっと無理やり連れて行かれる。
勇者パーティとして聖教国、教会に正式に応援要請されたら、断るのは難しくなる。
カイトに嫌われ他の三人に嫌われ...尚且つ仕方が無い。
そう思わせるにはこれしか無かった。
ごめんな…
幼馴染ってズルいなぁ...
あれ程馬鹿やって嫌な奴の筈が、反省の態度一つで『可愛そう』と思える。
まぁ良いや、流石にもう関係修復は無理だろう。
カイトだって自分の女が抱かれる...その状況で俺を誘う事はもう無い。
さぁ嫌な事は終わりだ、街に向かおう。
◆◆◆
さっきから全員が俯きながら歩いている。
当たり前だ、もうリヒトは戻って来ない。
いや、あの状態のリヒトじゃ、もう仲間として迎え入れる事は難しい。
「...」
「...」
「...」
「...」
此処までの犠牲を払ってリヒトを追いかけてきた。
飛竜艇を使い、全ての依頼を捨てて来たから、教会、特に教皇から何を言われるか解らない。
きっと何かしらの罰は覚悟する必要がある…
流石にもう2度同じ事は出来ねー。
うん?! 何かが引っかかる。
リヒトに言われるままに去ってしまったが...リヒトがフリージアを襲った時...
『何で俺達は止めたんだ?』
良く考えたら、元の案では『リヒトが好きな奴がリヒトの恋人になる』そういう話もあった筈だ。
あのままフリージアを犯らせてしまえば...達成出来たんじゃないか?
話しでは避妊紋まで入れていたわけだから妊娠は無い。
『お前、最後までやっちまったんだから責任とれよ!』
そう言えば、そこで目的は達成だ!
聖女のフリージアとやっちまったんだ。
その後は教会に報告すれば、聖女の醜聞を教会は恐れるから『リヒトはフリージアの婚約者に認定されこの旅から逃げる事は出来なくなる』
その状態なら『婚約者が居るんだから他の女に手を出すなよ』と言えばリダとミルカには手を出しにくくなる。
成功していたんじゃないか?
「カイト…今思ったんだけど」
「ああっ、そうだな!俺も今、思っていた所だ」
「そうね…」
「どうしたの?!なんで私の方を見るの…なんで?!」
そうだ…二番目に考えた作戦は『幼馴染だから皆仲良くしよう』そういう話だったが…最初に考えた作戦は『リヒトが好きな奴が恋人になる』そういう話だった。
最初の案で考えたら成功じゃないか?
あれは『上手くいっていた』んじゃないか...
あのままフリージアが受け入れてしまえば…教会は無理やり婚約者にする筈だ。
まして聖女が破瓜したなら、教会も巻き込んで無理やりリヒトを旅に同行させられた。
どう考えても成功じゃないか?
そもそも、この作戦は却下されたが立案したのはフリージアだ。
『婚約』まで視野にいれた話だった筈だ。
あれは諦める場面じゃない…最高のチャンスだった。
あのまま、俺達三人が立ち去るだけで全てが丸く収まった。
リヒトの言っていた生活のうち、仕事は兎も角、恋人、結婚の方の願いは叶った筈だ。
聖女との婚約。
ある意味、魔王討伐の報酬の先払いだし、聖女の婚約者だ...
魔王討伐の際にはしっかりと褒賞もでる。
なにやっているんだよ!
「フリージア...お前、何で泣き喚いたの?何がきゃぁぁぁーだよ、嫌がりやがってふざけんなよ! 作戦が上手くいっていたじゃないか?」
「『嫌、いやいやよーーー』?『ううっ、酷い…』?『…良いよ…そこ迄いうのなら…もう』? 違うだろう?あそこは『私も愛しているわリヒト』そう言いながら手をリヒトの頭にまわして股を開いて受け入れる場面じゃないか?それなのに股を頑なに閉じて嫌がって何やってんの!馬鹿なの!寧ろ自分から手を添えて迎い入れれば良かったじゃん」
「そうよね、良く考えたら100パーセント成功していた作戦を、全部フリージアが台無しにしたんだよ? 好きだ、愛している。そう言えばもう完璧だったのに」
「酷いよ…皆…私そう言うの初めてなんだよ…流石に外で皆の前嫌だよ…当たり前じゃない」
フリージアがリヒトを拒まなければ…こっちの勝ちだったじゃねーか。
ふざけんなよ…
「お前のせいでリヒトが手に入らなくなったんだ…なにやっているんだよ! 失望したよ」
「そうだね、これからも僕は武器の手入れをしなくちゃいけないのか!フリージアのせいだよ」
「事務仕事もしなくちゃね…フリージアのせいなんだからね」
「そそそ…そんな…」
フリージアのせいで折角、リヒトを引き入れられるチャンスを逃したんだ。
腹が立つのも仕方ないだろう。
◆◆◆
この後から、恐らく話は前と変わる予定です。
これからもよろしくお願い致します。
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