第47話 対勇者パーティ、最終奥義 ゲスの極み
ヤバい、間に合わなかったか。
逃げ切れると思っていたんだが、恐らく飛竜艇でも使って飛んできたのかも知れない。
此方に、大きな気が近づいてくる…
人間で此処迄の気の持ち主はカイト達勇者パーティしかいない。
幾ら努力して無く、実力が無いとは言え、カイト達は勇者パーティ。
俺が気が付いている位だから…相手も気が付いている筈だ。
「どうしたんだいリヒト!」
「顔が真っ青よ…」
此処で決着をつけるしかない。
ルミナスさんやカルミーさんを見られたらどう行動するか解らない。
理由を話して先に行って貰おう。
「不味い事に、カイト達勇者パーティの気配がする」
「「勇者パーティ?!」」
「ああっ、悪いけど先に次の街まで行って待っていてくれないか? そうだな、どの宿に泊まっているか冒険者ギルドに伝言して置いてくれればすぐに後から行くから」
「平気なのか?」
「大丈夫なの? 私達が此処に居た方が良いんじゃない!」
「いや、居ない方が良いと思う!もし俺が断ったとき矛先がそちらに向いたら怖い!俺は大丈夫だから、カルミーさんルミナスさんを頼んだ」
「解った…気をつけて」
「早く追いついてきてね」
「ただ話すだけだから、大丈夫だよ!」
これが恐らく俺にとっての大きな戦いだ…
これさえ乗り越えたらもう、終わりだ。
幾らカイトでも、魔王討伐を考えたら、もう一度は追いかけては来れない。
余りやりたくないが『あれをやるしかない』
俺は街道横に座り、カイト達勇者パーティを待った。
◆◆◆
ルミナスさん達と別れて10分もしないでカイト達が現れた。
「ハァハァ…リヒト見つけたぞ!」
「リヒト…私がいや…私達が悪かった…戻ってハァハァ欲しい」
「ハァハァリヒト見つけたわ…」
「リヒト…ごめんなさい…」
息せき切らして走って来たのが良く解る。
服もヨレヨレだし…こんな短期間で此処まで来るなら馬じゃ無理だ。
やはり、空竜艇に乗って来たんだろう。
税金の無駄使いだ。
困っているのは解るよ…
あれだけキラキラしたカイトが別人の様にくすんでいるし、服もよれている。
剣聖のリダは目の下に隈が出来て窶れているし…
聖女のフリージアの真っ白な聖衣服は茶色く黄ばんでいる。
賢者のミルカはその容姿のせいもあり…夜まで遊んでいた子供みたいに泥だらけだ。
『ごめんな』心の中で謝った。
それを見ても心は動かない。
俺はもうついていかない。
「取り敢えず話は聞いてやるから…ほら水でも飲んで、少し落ち着けよ!」
俺は持っていた水筒を放り投げた。
俺にとっての勝負は此処からだ。
◆◆◆
カイトや他のメンバーが今の状況を話、詫びてきた。
だが、魔王討伐の旅から逃げ出したい俺は此処で『許す訳にはいかない』
追放された事はそこ迄は恨んでいない。
だが、大切な人が居る、俺は戻る訳にはいかないんだ...
「カイト、みんな…言いたい事は解った!だが、もう俺達は会うべきじゃ無かったんだよ!俺は色々と精一杯だったんだ!あれ以上あの場所に居たら気が狂いそうだから…俺が俺で居られるうちに逃げたんだ! あれはやせ我慢だったんだ!悪いがこのまま帰ってくれないか? 頼むからな」
「俺が馬鹿だったんだ!ちゃんと今度はお前の事考えるから。なぁ頼むよ」
「私もちゃんと今度はリヒトの事を考えるから、前みたいには絶対にしないからな、この通りだ」
「そうよ、今度はちゃんと友達として扱うわ、だからね…お願いだから」
「昔からの幼馴染、友達として一からいやゼロから始めよう…カイトとリヒト…同じにちゃんと扱うからさぁ」
「いや、無理だよ!好きな男と同列になんて扱える訳が無いだろう?それに今の俺は、もう昔のリヒトじゃない!もうお前等のせいで考えが汚れちまったよ、ある意味カイト、お前の望んだ姿だ!いや4人が望んだ姿になっちまった!あそこで消えたのは、大好きだった幼馴染のお前達への最後の想いがそうさせたんだ!頼むから消えてくれよ!頼むから、俺が俺で居られるうちに消えてくれ!」
前振りはこれで良い。
カイトは俺に対して優越感に浸りたいから『見せつけていた』
それを俺は利用させて貰う。
「リヒト、俺達が悪かった!償うから、だから頼むから…なぁ頼むよ」
「お願いだ、償いが必要なら、償うから、この通りだ!」
「私も謝るわ…この通りよ…」
「私も…謝るわ」
可哀そうだとは思う、現状を見れば同情はする。
俺は参加したくもない魔王討伐の旅に友情や義理から仕方なくつきあった。
だが、追放したのはお前達だ。
これはある意味見たかった光景だ。
『改心して努力する勇者パーティ』
だが、もう遅い。
もし、俺がルミナスさんやカルミーさんに出会う前にこれをやられたら心が動いたかも知れない。
だが、もう俺には『命より大切な2人』が居る。
だから…もう無理なんだ。
『最終奥義 ゲスの極み』
「本当に責任がとれるのか? 今の俺は悪いが相当可笑しくなっているぜ! それでも良いのか?今の俺でも受け入れられるなら良いぜ!」
「「「「リヒト」」」」
感動している所悪いが、意味解っているのか?
「それじゃぁ償ってもらおうか!…そらっよ!」
ビリビリビリッーーー
「きゃぁぁぁぁーーー何するのよーーっ」
俺は一番近くに居たフリージアの服を力任せに下着ごと引き千切り突き飛ばした。
千切られた服からは可愛らしい胸が丸見えだ。
泣きそうな顔のフリージアを無視してそこで俺はズボンのベルトに手を掛ける。
「いや、いやぁぁぁーー」
フリージアは胸を隠しこちらを睨んでいる。
カイトは顔を赤くして怒っているのは明らかだ。
「リヒト、お前ーーっ!フリージアに一体何するんだ答えろーーっ!」
「お前…何をする気だ!見損なったぞ!」
「リヒトやめなよ、冷静になろう...ねっ」
「グスッ...なんでこんな事するの...」
「なにするって?!犯るに決まってんだろう? 俺にこうなって欲しかったんだろう?!散々パラ俺に厭らしい姿見せつけてよ! お前等露出狂で見られながらするのが好きなんだろう? 毎晩、毎晩、見せつけてきてよ!いい加減俺も溜まっているから今すぐ使ってやるよ!俺はそこのカイトと違って避妊紋を刻んでいるから、中出しし放題で妊娠も気にしないでやれるぜ…おらよ股開けよ!」
まぁ、これは嘘だ。
本気で幼馴染を犯したりしない。
だが、此奴らが散々俺に見せつけてきたのは事実だ。
「ううっ、酷い…酷いよ...リヒト」
「うるせーよ、これがお前等が望んだ事なんだよなーーー!俺がストレスが溜まっていけばこうなるだろう!そんな事も解らねーのか!良いから股開けよ淫乱アバズレが、穴を使わせる以外全部やってんじゃねーの?」
「ううっ、せめて誰も居ない…所で…おね…がい」
「嫌だね、お前達だって、散々見せつけてきたじゃねーか! 好きなんだろう!見られるのが!」
「俺が悪かった!俺達は…そこまでしていない…四職は妊娠は不味いからな…」
「本当だよ…揶揄っていただけだよ…そんな過激な事してない」
「本当だから…本当にしてないよ」
「はんっ…人前で胸を揉んだり下着に手を入れていた奴の言う事が信じられるかよ!散々見せつけて、俺がその気になったら嘘つくのかよ…カイトと同等なら今夜からお前等は俺のハーレムのメンバー扱いでも良いんだよな?違うか?」
「…良いよ…そこ迄いうのなら…もう」
「「「…」」」
「あのさぁ、俺は4職じゃないから、普通ならもう結婚して嫁さんもらって子作りしていて当たり前なんだぜ、そして冒険者しているかそのまま農家として過ごしているか、そういう人間なんだ!今のはやり過ぎだと思う。悪かったな!謝る、すまないな!だが、これが今の俺だ、もしあのまま、お前等が四職にならず村で暮らしていたら、恐らく3人のうち1人が嫁さんで、もうとっくに経験済みだった筈だ!だが、勇者パーティになった時から、そういう気持ちを押さえて、俺はそういう目で3人を見ない様に頑張っていたんだ!だが、お前らが馬鹿な事でマウント取るし、隠れてすれば良いのに見せつけるような事をし続けてたから、もう、そう言う目でしか見られなくなっていたんだよ!今みたいに手を出す前に、俺は去った方が良い!いつもそう思っていた。だからこそ、あそこで追放を受け入れたんだ。解っただろう?もう放っておいてくれないな?」
「悪い、親友としてパーティリーダーとして、男として謝る…悪かったな」
「私達が悪かったんだ…そうなるのも無理もない」
「私達がグスッ…スンスン…そうさせちゃったんだね…」
「ごめんなさい」
「悪いな!今の俺はもう駄目なんだ!お前等が煽り見せつけられたから、そう言う対象にしか見えなくなった!正直夢で3人を何回犯したか解らない!悪いけど、このまま消えてくれないか?これ以上嫌な男になりたくない」
「俺達が悪かったのか…」
「ごめん、リヒトの気持ちを考えずに…仕方ない、行こうカイト」
「ごめん…グスッ、なさい、ごめんなさい」
「もう来ないよ…悪かったね、ゴメンね」
カイト達が去っていく。
この勝負…俺の勝ちだ。
ごめんな...口には出さないが心から謝るよ。
◆◆◆
自分達が煽ったせいで『危ない奴になった』これなら俺ばかり責められないし…手元に置きたくないだろう…
もうカイト達が…俺の所に来ることはないだろう…
何とも思わない、そう思っていたけど、少しだけ寂しいと思ってしまうのは何故だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます