第38話猪八戒は左とん平より西田敏行派ですわ!
ズン、ドラタタ、ドン、ドン、ドン!!
BOSEのスピーカーがビリビリと震えている。
「あぁ、頭ギリギリですわ」
カチャリ
「わぁ!音でかっ!」
お嬢様の部屋に入ると、ソファーに座ったエリカお嬢様が涙ぐみながら大きな音で音楽を聴いていた。
「あら、爆竹ですか?お父ちゃんはX派でしたけど爆竹も昔よく聴いてましたよ」
「X派?ミーハーな、Xなんてギターとドラムだけでボーカルはポンコツですわ!」
「私はデーモン木暮の方が好きですけどね」
「……昨年ボーカルの魔王様がお亡くなりになられたので時々聴くようにしているんですわ、ライブ中に倒れられてそのまま、さぞ無念であったことでしょう」
「エリカお嬢様がロックなんて、本当に何でも聴きますよね」
「ふふ、アニソンからクラッシックまでなんでもござれですわ!中でも爆竹の魔王様はお父様よりお歳だったのに色っぽくて好きですわ!」
「それ旦那様に言っちゃ駄目ですよ、拗ねちゃいますから」
「曲を聴いていたらちょっと湿っぽくなってしまいました、こんな時は辛いカレーですわ!」
「なんで?」
なぜカレーと思いつつ、私も珍しく付き合おうかとちょっと考え込む。
「難波の自由軒にでも行きますか?」
「う~ん、あの卵が乗った名物カレーも捨て難いですけど今日はもうちょっとガツンと、CoCo壱の5辛くらいが欲しいですわね」
「ではCoCo壱でいいじゃないですか」
「ちょっとは迷いなさいよ、カシミールも結構辛いですわよ」
「はいはい、CoCo壱で、今ならカキフライカレーやってますよ」
「!!、戸田、早く行きますわよ!」
と言うことでエリカお嬢様に連れられてCoCo壱にご入店。
「カキフライカレーで!ライスは350g5辛でお願いしますわ」
エリカお嬢様が目をキラキラさせて席につくなり注文する、店員のお姉さんはちょっと顔が引き攣っている。こんな縦ロールのお嬢様がCoCo壱で注文してればなぁ。
「じゃあ、私はほうれん草カレーでご飯は250gの1辛で、後バニラアイスを」
スパイス香る店内でお冷やを一口、前でに座るお嬢様が口を開く。
「戸田、そう言えば今年は阪神はもう勝ちましたの?」
「はぁ、お嬢様は本当に結果しか興味ないんですね、今年は巨人が優勝してますよ?確か…」
最近はニュースでもメジャーリーグの大谷さんの話題が多いので国内の野球は印象が薄いのだ。
とりあえず調べてみるかとスマホをポケットから取り出す。
「バース・掛布・岡田のバックスクリーン3連発は出なかったんですの?」
「いつの時代の話ですか?岡田は今じゃ監督さんですよ、去年はアレで盛り上がってたじゃないですか」
「岡田監督はベンチにいるのに打てませんの?」
お嬢様がコテンと首を傾げる、仕草が可愛いなおい。まぁ、今更TVでルールの説明なんてしないからな、珍プレー好プレーも最近見てないし。
「たぶんお嬢様の方が打てるんじゃないですか、ってアレ」
スマホに表示してされたニュースに目が止まる。
「どうしたんですの?」
「西田敏行が死亡ですって」
「は?…………巨星墜つですわ」
酷く驚いた後大きくため息をついたお嬢様、あれ?ファンだったっけ?
「鮎川誠、坂本龍一、谷村新司、桜井敦司、陳健一、畑正憲、上岡龍太郎、松本零士、アランドロン、キダ・タロー、篠山紀信、曙太郎、鳥山明、エスパー伊東……」
お嬢様がいきなり有名人の名前をブツブツ言い始めた、あぁ、ここ最近亡くなった人か、日本人の中にアランドロンが混じってるの気になるなぁ、まぁキダ・タローも浪花のモーツァルトだからいいか。
「これで探偵ナイトスクープの局長が初代、2代目お二人もお亡くなりに、今年阪神タイガースが優勝出来なかったのはさぞご無念であった事でしょう」
「えっ、西田敏行って阪神ファンだったんですか?確か福島出身でしたよね」
「がんばれタブチくんに出てたでししょうが!」(田淵幸一は元阪神タイガースでライオンズに移籍)
知りませんよそんなの、お嬢様歳いくつですか。
「カキフライカレーとほうれん草カレーお待たせしました〜」
あ、カレー来た。
お嬢様が店員のお姉さんに向かって口を開く。
「カシミールチキンカレーとメンチカツカレーを追加ですわ!」
お姉さんもびっくりだ、ついでに私も。
「えぇ!!そんなに食べるんですか!」
「追悼のヤケ喰いですわ!戸田も何か頼みなさいな」
「1皿で充分お腹いっぱいですよ」
「そんなことでは西田敏行さんのように太れませんわよ」
「池中玄太80キロですか!」
「あ、西遊記繋がりで次は堺正章あたりが危ないかしら」
「不謹慎だな!!」
全くエリカお嬢様ときたら……あ、カキフライカレー美味しそう。
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