第37話ダンディ剣持、セクシーエリカですわ!
「ん、何これ?」
思わす立ち止まる。
買い出しから戻る途中ふと
ふむ、どうやら積載量が少ないのを気にしていたらしい、エリカお嬢様はスーパーで安いもの見つけるとまとめ買いをよくなさるからなぁ~。
名家のお嬢様がそんな積載量を気にするぐらいなら、大人しく家の運転手付きの車に乗っていやがれと思わないでもないが、エリカお嬢様だから仕方ないのだろう。
大体がそんな箱をどこで仕入れてきたんだ、一応は出所ぐらいは聞いておいた方がいいだろう。
カチャッ
リビングでおやつのサンミーを優雅にかじっているエリカお嬢様を発見。
美味しいよねサンミー、思いっきり庶民の味だけど。
早速、謎の箱の件を尋ねてみる。
「モンキーの箱?あれはお好み焼き屋で仲良くなった大阪銀行のおじ様からお下がりで頂いたのですわ!そんなことより戸田知ってます?3月31日はサンミーの日だったんですって、
エリカお嬢様がサンミーの袋を見ながら答えてくださる。
「サンミーに記念日なんてあったんですか?菓子パンの分際で!」
サンミーの日?特売日か?もし知っていたらエリカお嬢様は一体何をするつもりなんだろう?来年は少し警戒しといた方がいいかもしれない。
それにしても、箱の謎は解けた、実にエリカお嬢様っぽいわ。すぐ誰とでも仲良くなるんだから。
最近ではセバスさんがお嬢様のバイクを洗車・整備をしているらしくピカピカだ、この前は密かにオイル交換をしてるのも見てしまった、もう~甘やかし過ぎじゃないだろうか?あの箱の取り付け作業したのも絶対にセバスさんだな。人望だけはめっちゃ高いんだよなエリカお嬢様。
パルン!ストトトトトト
50ccOHCエンジンが小気味良い音を立てる、黒ベースの車体に赤いホイールが街行く人の目をひく。
まぁ、それ以上に風に靡く縦ロールの方が目立っているが。
今日も今日とてエリカお嬢様のくまモンキーが大阪の街を元気に駆け巡る。時速30kmの法定速度をきっちり守りながら。
この猿だか熊だかわからん乗り物は元々はモンキー(猿)と言う名の原付バイクだ、カラーリングは熊本のゆるキャラくまモンだが名前的には大阪に相応しいと言えなくもない。
大阪は太閤はんのお城として親しまれている大阪城のお膝元だけに
まぁ、この3人で誰が好きと言うアンケートでは信長47%、秀吉22%、家康19%と日本人は信長好きって統計はあるんだけどね。
カシャンとスタンドを立ててヘルメットを脱げば、そのゴージャスなオーラに通りすがりのおじさんが二度見する。
エリカは気にするふうもなくスマホを出すと通話ボタンを押した。
大阪城を背に大阪府警察本部を見上げながら相手が出るのを待つ。それにしても大きくて威圧感のある建物ですわ、東京の本庁舎はまだ見たことありませんけど、どっちが大きいのかしら。せっかく大阪城の隣にあるんだからもっと和風にお城とか神社風な造りにすれば観光スポットになるのに。
トゥルルル「あ、もしもし本部長の剣持さんに繋いでもらえるかしら、えぇ、西園寺エリカですわ」
「…………さい、しょ、少々お待ちください!」
剣持叔父様と会う時はよほど急がない限り受付で取り次いでもらう、剣持叔父様へのちょっとした悪戯だ、女子高生からの呼び出しに応じる大阪府警本部長様は署内でどんな噂になるのか、ウププ。
尚、毎回本名名乗っているので、受付のお姉さんには素性がバレバレだ。
「エリカお嬢様、電話でしたらプライベートの番号を教えてますよね、私への嫌がらせですか?」
「職場の話題造りの一環ですわ」
「はぁ、今から向かいます、大人しくしていてくださいね」
「ハァ~イ」
ローソンでコーヒーを飲んでいるとスーツ姿の剣持さんが歩いて来るのが見えたので窓越しに手を振る。
もう50を超えてるはずだが普段から身体を鍛えているので、歩いてるだけでカッコいいと思わせる罪なおっさんだ。
「ん、バイクはいいのかい?」
「あぁ、店員さんに頼んで置いといてもらってるから大丈夫ですわ」
二人はそのまま天王寺方面に向かって歩き始める、ゴージャスな女子高生と渋いスーツ姿のおじさんの組み合わせはどこか危険な感じすら漂わせ、近寄り難い。
剣持叔父様と少し歩いて空堀商店街にある細い路地の先「ことみ」と言うお好み焼き屋に入る、場所だけはプリンセストヨトミ気分ですわ。ちなみに太閤と言うお店はここにはありませんわ。作ってしまおうかしら。(このお店昔TVで紹介されてたんですが残念ながら今は閉店しちゃってるようです)
「いらっしゃい」
お婆ちゃんの優しい声で迎えられ、カウンターに腰を下ろす。渡された紙に注文を書き込む。
「え〜っと豚玉とおでんの大根、玉子、ちくわにスジと。剣持叔父様はどうします?大根と厚揚げにこんにゃく?それだけでいいんですの」
ダイエットでもしてるのかしら少食ですわね、
「お嬢ちゃん、手前の玉子はまだ入れたばかりだから奥のをとってね」
お婆ちゃんが親切に声をかけてくれる。
「わかりましたわ」
お玉で叔父様の分もおでんだねを掬って席に戻る、目の前ではお爺ちゃんが豚玉を焼き始めていた、ジュウと心地よい音が聞こえている。
色々な芸人さんのサイン色紙が飾られている店内で、おでんを食べながらお好み焼きが焼き上がるのを待つ。大根が味が沁みてて美味しい、後でじゃがいもも食べよう。
カッ
「ほい、お嬢ちゃん、焼けたよ」
「美味しいですわ!!」
お爺ちゃんが
おでんを肴に剣持叔父様はいつの間にか頼んだビールをコップに注いでいる、あら、勤務時間中じゃありませんのチクリますわよ。
「と、その銀行員のおじ様は言ってましたわ」あむっ!
「なるほど、そう言う流れだったか。いや、とても助かる情報だった。感謝する、これで各課に指示が出せそうだ」
今日のお昼はこの前くまモンキーの箱を頂いたおじ様から聞いた話を叔父様に話す為に会いに来たのだ、お好み焼きはそのついでだ、どうにも犯罪組織のお金の話だったので気になってたのだ。
「剣持の叔父様にはいつもお世話になってるので恩返しですわ」あむっ!
「…エリカお嬢様、ソースが頬に付いてますよ」
「あら、失礼。オホホホ」
「それにしてもそんな銀行の内部情報をよく知る事が出来ましたね」
剣持叔父様が少し感心したように口を開く。
「ふふ、それもこれもお好み焼きの縁ですわ」あむっ!
「「ごちそうさま」」
ふう、やはりお好み焼きは関西風ですわ、焼きそばは別で頼めばいいだけの話ですわ!満足気に鼻息が荒くなった
剣持叔父様と別れ、くまモンキーのエンジンをかける。
「あ、今日はスーパー玉出屋でお菓子が安い日ですわ、寄って行かないと!!」
私は京阪国道を淀川に向けてくまモンキーのアクセルを開けた、今日はタケノコの里が安いのだ。
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