第9話 天下に並ぶ物無しですわ!
京都芸術大のある白川通り、そこには、全国のラーメンマニアが一度は訪れたい場所のNo1と言っても過言ではないこってりはんの聖地、天下一品総本店が存在している。
行列を並び店先にたどり着いたエリカ。
「ハァ〜、天一の総本店、とうとうここに来ることが出来ましたわ」
茶山駅から歩いて10分、エリカは憧れの地の前で震えるような感動を覚えていた。
店内に入ると当然のように満席、一つ空いたカウンターに案内され腰を降す、オーダーの決まっているエリカはすぐに黒いtシャツを着た店員を呼び止める。
「ご注文よろしくて」
「ハイ、少々お持ちください!」
限定メニューの牛すじラーメンを頼みたいがここはやっぱり。
「こってり一つスープ多め麺は硬めで、後コロッケとライスをくださいまし」
「ハイ、ニンニクはどうされますか」
「無しでお願いしますわ」
自分の周りで次々と運ばれてくる宝石のようなラーメンを横目に眺める、こうして待っている間にもいやが応にも期待が高まってゆく、別に天一のラーメンを食べるのは初めてではない、大阪の枚方でも食べたことはある、いつもは屋台の味を選ぶエリカだったが京都総本店で食べる以上こってりを選ぶ以外の選択肢しかなかった。
鶏ガラベースの濃厚なスープはとんこつラーメンのコッテリとは違う、まさに鶏ガラ野菜のポタージュ、その独特の味に魅了されたファンは、全国200店以上の数の10倍いや50倍は軽く超えるだろう、エリカもその味に魅了された一人だ。
コトッ
「き、来ましたわ、このどんぶりに刻まれた総本店の文字、感動ですわ!来てよかったですわ」
まずはレンゲでスープを一口。
「ふぁ〜、なんと濃厚な味、たまりませんわ」
次に挑むは麺、ストレートな固茹での麺に箸で持つと重量感すら感じる濃厚なスープが絡む。
チュルルル
「ん〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!もう死んでもいいですわ」
ズルルルルルッルルルルルルルルルル
ヒソヒソ
「なあ、あそこのお客さん泣きながら食ってるけど大丈夫か」
「ああ、あの巻き毛のお嬢様だろ、なんか凄え浮いてるよな、けどめっちゃ幸せそうだしいいんじゃない」
「おっ、コロッケもいった、本当美味そうに食うなぁ」
「ふぅ、ご馳走様ですわ!そこの貴方、シェフに大変美味しかったとお伝え願えますか」
「は、はぁ、ありがとうございました」
異様な熱気に満ちた店内から外に出れば、真夏の外気ですら涼しく感じ、先ほどまでの感動が蘇ってくる。
「
看板を睨みながら呟く。
エリカは迎えを呼ぶため、スマホを取り出すとセバスの名を探す。
ピッ
「
まだ食べるんかい!!とツッコミを入れた方がいいだろうか?
※天下一品、長野市から撤退しちゃったんだよなぁ、ああ、こってり食いてぇですわ!!
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