第57話 俺が笑顔を取り戻す
今やエステラちゃん母娘や
「死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね……」
ドローレアだった何かは、相変わらずぶつぶつと呟いている。そして、その全身から紫色の霧を放出し始めた。
すぐ近くにいた俺は、その紫色の霧を吸い込んでしまう。
俺は、紫色の霧を吸い込んだ瞬間、どす黒いとても嫌な気持ちになった。死にたいと思うほど、憂鬱になった。
周りにいる
この紫色の霧を吸っては絶対にダメだ。危険すぎる。
しかし、遅かった。
少し距離を取りながらも、周囲に集まっていた対怪人SATの皆さん。
その中で、風下にいた一人の隊員が紫色の霧を吸い込んでしまう。
紫色の霧を吸った隊員は、猛烈に死にたくなってしまったのだろう。
持っていた銃を自身の側頭部へあてる。
これはヤバイ! と俺が思ったとき、その隊員のすぐ近くにいたホワイトシュシュのかすみちゃんが、すかさず銃を取り上げ、発砲を阻止する。
かすみちゃんのおかげで無事だったが、この隊員の行動を見ると、紫色の霧はアストラルパワーが低い人への影響が大きいのかもしれない。
同じことを思ったであろう俺ピンクが、なずなちゃんとかすみちゃんに指示を出す。
「なずなちゃん! かすみちゃん! 対怪人SATの皆さんを安全な場所へ避難させて。みんなを守ってあげて」
さすがは、なずなちゃんとかすみちゃんが所属している第二課の課長を兼任している俺ピンクだ。
「はい、俺ピンクさん! みんなを守ります!」
「了解です。私たちに任せて下さい!」
俺ピンクの指示に、なずなちゃんとかすみちゃんが元気に答える。さすが優しさでできている第二課メンバーの三人、素早い連携だ。
これで周囲にいる対怪人SATの皆さんなどのアストラルパワーが低い方々もひとまず大丈夫と思って良いだろう。
そうしている間にも、ドローレアだった何かは、紫色の霧を放出し続けている。周囲を漂う紫色の霧が濃くなり、広範囲に渡り充満していく。
すでにドローレアだった何かの姿は、濃くなった紫色の霧で見えなくなった。ここでドローレアだった何かを見失ってしまうと、この紫色の霧が無限に拡大してしまう。
そうなったら日本はどうなってしまうのか。
ただ、俺に不安はなかった。
今、ここには
この状況にも打ち勝つことができると確信していた。
とはいえ、巨大
そこで再び俺へ力を集約し、俺が代表して紫色の霧に突入、ドローレアだった何かをぶっ飛ばすことにした。
俺レッド、俺ブラック、俺イエロー、俺ピンク。
それぞれがわずかに残った力を、再び俺に集約する。
エルフィンドールズの代表は、エステラちゃんだ。
エステラちゃんはナタリアちゃんの励ましにより、力が漲っているようだ。
白銀に光っているので、分かりやすい。
もしものときの救援は、最も余力のあるナタリアちゃん。
「いつでもナタリアが助けに行くから安心してね。エステラちゃん、俺グリーンさん!」
俺は元気なナタリアちゃんの声に安心する。
エステラちゃんが、ナタリアちゃんからいつも元気をもらっている、と言っていた気持ちがよく分かる。
こうして相談している間にも周囲に紫色の霧が充満していく。のんびりしている時間はない。
俺は決意を伝える。
「霧の中での行動は五分程度が限界だと思うので、速攻で倒してきますよ」
エステラちゃんも俺の発言に続く。
「私はこのために地球に来ました。頑張ってきます!」
俺とエステラちゃんは、より濃く、より広範囲に充満していく紫色の霧に、勢いよく飛び込んだ。
紫色の霧の中に入るとすぐに、どす黒い嫌な気持ちなり、憂鬱で死にたくなってくる。
しかし、俺の隣にはエステラちゃんがいる。
それだけで、どす黒い嫌な気持ちに負ける気がしない。
隣にいるエステラちゃんは、色々な想いを胸に秘めているのだろう。目に力があり、覚悟を感じる。
どす黒い嫌な気持ちに負けるとは思えない。
ただ、俺は思う。
覚悟を持った表情のエステラちゃんも良いけれど、俺はエステラちゃんには、笑顔でいて欲しい。
俺はエステラちゃんの笑顔を取り戻す。
みんなの笑顔を取り戻す。
俺とエステラちゃんは、紫色の霧の中心にドローレアだった何かを発見する。
◇◇◇
分身戦隊オレンジャーズ!
地球から悪が滅びるその日まで、オレンジャーズの五人は力を合わせて戦い続ける!
力を合わせると言っても、もともと全員、俺なんだが。
つづく!
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