第56話 呪い、怨念
「やりましたね、さすがです。俺グリーンさん」
「大役、お疲れ様です。俺グリーンさん」
「さっきはお前とか言ってすみません。俺グリーンさん」
「身体は大丈夫ですか。俺グリーンさん」
先ほどのテンションは照れ臭いというか疲れるので、俺もいつも通りのテンションの方が落ち着く。
この辺の阿吽の呼吸は、さすが全員、俺といったところだろう。
そんなことより問題は、ラスボスの
俺が慌てて様子を確認すると、エルフィンドールズと
その様子を見て、俺は思った。
うわぁ、なにアレ?
あの黒っぽい二人がドローレアかな?
黒い大きな羽根が出てるんですけど?
黒と紫色が入り混じったオーラみたいなのが気持ち悪いんですけど?
あの白銀に輝いているのがエステラちゃんかな?
とすると、隣にいるのがナタリアちゃんか。
ナタリアちゃんは黒っぽいオーラを出したり、白銀に輝いたりしないんだ、それが普通だよね。
遠方のため分かりずらいが、エルフィンドールズが押しているように見える。
さすが白銀バージョンのエステラちゃん、恐ろしく強い。
ただ相手は幹部だ、油断はできない。
すでに全力を出し切ってヘロヘロではあるが、俺も遠くから見ている場合ではないだろう。
だが俺の心配をよそに、
黒っぽいオーラも消えて、まともに動くことすら困難そうだ。
エステラちゃんとナタリアちゃんは、
オレンジャーズが到着するのと同時に、ホワイトシュシュちゃんや対怪人SATの皆さんが、パープルメタリックの怪人の残党を倒し終わって、続々と近辺へ集まってきた。
これなら
「ドローレア、もう降参して、星幽結社エルリンケイムに関わるのをやめなさい!」
エステラちゃんが
しかし、
「ふんっ、殺すなら殺してみなさいよ」
「人殺しの子は、やっぱり人殺しね」
「知らないでしょうけど、私はアデリナに殺されて二分割されたのよ」
「またその子供に二人とも殺されるのね。人殺し母娘がッ!」
「偉大なアストラル体なのに、お前たち母娘のせいで」
「分割されるほど強大なアストラル体だというのに」
瀕死の状態にも関わらず、
「……」
エステラちゃんが押し黙ってしまった。
俺はエステラちゃんに声をかける。
「エステラちゃん、大丈夫?」
「だ、大丈夫ですよ。私、きちんとドローレアを倒しますから。そのためにここにいるんです」
大丈夫と言ってはいるが、無理をしているように見える。
本来、エステラちゃんとナタリアちゃんは、二人とも心優しい少女だ。
エステラちゃんもナタリアちゃんも十分に頑張ってくれた。
ここからは
それに俺は、
「ドローレア、お前は殺されて二分割されたことを嘆いているようだが、俺は殺された上に五分割されている」
「はぁ? 五分割!? 嘘を言うなッ! 下等種のくせに!」
「この私ですら二分割なのに、下等種ごときがそんなはずはない!」
俺が思った以上に、
「嘘ではない、俺は五分割されてここにいる。俺が五人揃って分身戦隊オレンジャーズだ」
そして、どうやら
「ま、まさか本当に……」
「下等種のくせに、なぜ……」
まさか分割された人数の多さで、マウントを取れる日が来るとは思わなかった。
二分割と五分割という格の違いを感じ取っていたのかもしれない。
実際に巨大
俺は最後に宣言する。
「地球の平和は分身戦隊オレンジャーズが守る。ドローレア、お前たちにどんな事情があろうが、地球から手を引かないのであれば、オレンジャーズがお前たちを倒す」
俺の宣告を聞き、青紫色の髪をしたドローレアがキレた。
「な、生意気なことを! 下等種ごときがッッ!」
やはり地球から手を引く気はなさそうだ。
続いて、赤紫色の髪をしたドローレアが何やら怪しげな発言をする。
「こうなったらラゾワール博士が作った最新の秘薬よ」
ん!? 最新の秘薬!?
それが何だかは分からないが、とりあえずヤバそうだ。
戸惑っている
いや、一人と言って良いのだろうか。
身体の半分ほどは粘液化したまま、四つある眼球の全てが白目をむき、すでに人とは思えない容姿であった。ドローレアの意識があるのかどうかも分からない。
ひたすら同じことを、ぶつぶつと呟いている。
「死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね……」
一体、これはなんだ?
俺には
すでにこの存在は、
エステラちゃん母娘や
◇◇◇
分身戦隊オレンジャーズ!
地球から悪が滅びるその日まで、オレンジャーズの五人は力を合わせて戦い続ける!
力を合わせると言っても、もともと全員、俺なんだが。
つづく!
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