第44話 俺の疑問は天使のブラ

 俺は少しホッとしている。


 問題だったアストラル砲弾作りのノルマが少し下がった。

 五人の俺オレンジャーズを過労死させてしまっては、さすがにマズイという判断だろう。


 第四課衛生班の新庄さんから『あの人たち死にそうです。ここで死なれると、何かと面倒ですよ』という申告があったと聞いている。

 ありがとう、ツンデレの新庄さん。


 そうして少し気持ちに余裕のできた俺。

 そんな俺はあることが、とても気になっている。


 ミツバチ怪人と言われるエステラちゃん。

 その所以は、エステラちゃんの背中に羽根が生えているからだ。


 そして、その羽根は、ブラをするには邪魔な位置から生えている。

 つまり何を言いたいのかと言うと、エステラちゃんはノーブラなのだろうかということだ。


 あんなにヒラヒラとした薄着で激しく戦っているのだから、色々と危ない思うのだが。

 俺は人類滅亡の心配とともに、エステラちゃんのエッチな写真が撮られないかも心配していた。


 ただ、星幽結社エルリンケイムの技術力なら、羽根が生えていても着用できるブラがあっても不思議ではない。

 そうであるなら、まさしく天使のブラ。


 み、見たい。

 いや、エッチな目で見たいと言っているのではない。

 知的好奇心、そう、知的好奇心で見たいのだ。


 実のところ、俺はエステラちゃんと一緒にギアナギアと戦っているときから気になっている。

 非常に不謹慎ではあるのだが、次の敵である二人の分身幹部ドローレアより気になっていると言っても過言ではない。


 きっと他の三人の俺赤、黒、黄も同じだろう。三人とも悶々として過ごしているはずだ。


 そんなある日のこと。

 その疑問を、なんと俺ピンクが確認してきてくれた。

 女性になっても俺は俺なので、俺ピンクも疑問に思っていたのだろう。


 確認といっても、もちろん盗撮などではない。


 女性である俺ピンクなので、普通に話をして聞いてきてくれた。

 ガールズトークというやつだろう。



 ◇◇◇



 私は突然、俺ピンクさんに質問をされた。


「ねぇ、エステラちゃん。エステラちゃんはブラしてる?」


 えっ、俺ピンクさん、急に何の質問?

 ブラをしているかって、えっ、それがなに?

 し、してるけど、なんだろう?


「もちろんしてますよー。なんでですか??」

「エステラちゃん、羽根が生えているからどうしているのかなって思って」


 あ、羽根か。

 地球の皆さんには、羽根がないから不思議なんだな。

 私は納得した。


「ああ、そういうことですか。ちょっと見てみます?」

「えっ、いいの? ありがとう、エステラちゃん」


 私は俺ピンクさんに背中を見せてあげた。

 地球の皆さんとの交流は悪くない。

 私たちのことを知って欲しいし。


「あれ? エステラちゃんの羽根、ブラをすり抜けてる?」

「そうなんです。羽根はアストラルパワーが目に見えているだけで、ブラや衣服をすり抜けるんですよー」


「そうなんだ」

「はい、すごく濃いアストラルパワーは、目に見えるんですよ。意識すれば消すこともできますし」


 私は羽根を消してみた。


「すごーい! いいな」

「たぶんオレンジャーズさんもできると思いますよ。私たちが意識して消すのとは逆に、オレンジャーズさんは意識して出すみたいな感じで」


「本当に!? やってみたいからコツとか教えてもらえるかな?」

「はい! もちろん良いですよ」


 俺ピンクさん、嬉しそう。

 ブラしてる? とか何の話だろうと思ったけれど、少し仲良くなった感じで私も嬉しい。


「ところでエステラちゃんのブラって、日本のとそっくりだね」

「はい、そっくりというか、日本製です。すごく質が良いし」


「そうなんだ。じゃあ今度、一緒に買いに行かない?」

「行きたいです! ナタリアちゃんも誘って良いですか?」


「もちろん。ナタリアちゃんも一緒に行こうね」



 ◇◇◇



 なるほど。

 羽根は密度の濃いアストラルパワーで、密度の濃いアストラルパワーは目に見えるものだったのか。

 だから衣服などをすり抜けて見えているというわけか。

 それならば納得だ。


 そして、どうやらこの話のあと、俺ピンクとエステラちゃんとナタリアちゃんの三人は、お忍びで買い物に行ったらしい。

 その際、俺ピンクは自分好みの下着をお薦めして、2人はそれを買ったと聞いている。


 俺ピンク好み、つまり俺好みということだ。

 とても気になる。

 


 ◇◇◇



 分身戦隊オレンジャーズ!

 地球から悪が滅びるその日まで、オレンジャーズの五人は力を合わせて戦い続ける!

 力を合わせると言っても、もともと全員、俺なんだが。


 つづく!

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