第45話 俺と人事と闇堕ちと
巨大
その成果が評価され、
俺レッドは、分身戦隊オレンジャーズの正式なリーダーに任命された。戦闘時など常に勇気を見せ、積極的に先頭に立って鼓舞してくれるので、分かる気がする。
俺イエローは、第三課兼任となり、第一課と第三課の課長補佐となった。俺イエローは前向きで明るく、体育会系の第三課の皆さんと仲が良いので、連携役に適任だろう。
俺ピンクは、第二課兼任となり、第二課の課長となった。
俺ピンクは人当たりがよく優しいし、若い女性のなずなちゃんとかすみちゃんの監督役として最適だろう。
俺は第一課の課長となった。
俺には他の
だが、なんとなく俺が中心となって話をする機会が多いからだろうか。なんだかんだで、最初からずっと俺がセンターに立っているという理由からかもしれない。
正直なところ、適任かどうか、俺自身では分からない。
そして、俺ブラック。
いぶし銀の俺ブラックには、何もなかった。
「あ、俺は何もなしか。俺、ギアナギア戦でも目立ちませんでしたもんね。仕方ないか。ははっ」
なぜか俺ブラックだけには何もなかった。
いやいや、それはおかしいだろう。
俺は普通にそう思ったのだが、自虐気味に笑う俺ブラックに対して、何も言葉をかけることができなかった。
俺が俺ブラックの立場なら、どんな言葉をかけられても嬉しくはないからだ。
翌日、俺ブラックは有休を取った。
俺レッドと俺ピンクは、ちょくちょく有休を取っているのだが、俺ブラックは初の有休だ。
やはり気落ちしてしまったのだろう。
俺は特に上昇志向など持ってはいないが、それでも一人だけ何もなかったらへこんでしまう。
一人でモヤモヤと過ごしているうちに、闇堕ちなどしなければ良いのだが。ブラックだけに闇堕ちとかシャレにもならない。
今になって思うと「漆黒の闇! 俺ブラック」という名乗り口上もダメだったかもしれない。
何度も言っているうちに、気持ちが病んでしまっても不思議ではない。
この一件で日本を見限り、悪の組織になった星幽結社エルリンケイムへ転職したりはしないだろうか。
もしそんなことになったら、こちらは四人揃って
それは嫌だ。
とにかく俺ブラックには、リフレッシュして帰ってきて欲しい。
俺はそう願った。
そんな俺の心配をよそに、有休の翌日、俺ブラックは元気になって戻ってきた。
いや、元気を通り越して、浮かれている。
えっ、元気すぎでしょ?
こんな元気な俺ブラック見たことないけど……?
やけに元気な俺ブラックを見て、俺はピンときた。
これは女性関係だ。
「俺ブラックさん、何かいいことありましたよね?」
「えっ、やっぱり分かっちゃいます?」
「そりゃ分かりますって。だって俺ですし」
「ですよねー」
ぶっちゃけ俺でなくても分かるほど浮かれている。
「いやー
よく国立科学研究所に行くと思ったら、いつの間にかそんな関係になっていたとは。
確かに
むしろ休日まで家で研究しているという噂だ。
俺ブラックが浮かれすぎて饒舌になっている。
「前に第四課との親睦会があったじゃないですか。あれ以来、よく話をするようになりましてね」
確かにあった。
俺だけで過半数を占めていた親睦会だ。
あのときか。
「
へぇ、そうなんだ。知らんけど。
「俺、この戦いが終わったら
調子に乗りすぎて、俺ブラックが分かりやすい死亡フラグを立てている。俺ブラック、死なないで欲しい。
だが、俺は真面目な眼鏡っ子キャラも好きなので、俺ブラックが調子に乗ってしまう気持ちはよくわかる。
そして、俺ブラックには、少し遅れて辞令がでた。
国立科学研究所兼任、アストラルパワー研究班チーフ。
警視庁という枠を越えているため、辞令が少し遅れたそうだ。
目立たないが、いつも頑張っている俺ブラックに、少し早めの春が来たようだ。
まだまだ寒さは続くが、今日は陽射しが届いて、少しポカポカしている。俺は幸せそうな俺ブラックを見て、心も身体もポカポカだ。
◇◇◇
分身戦隊オレンジャーズ!
地球から悪が滅びるその日まで、オレンジャーズの五人は力を合わせて戦い続ける!
力を合わせると言っても、もともと全員、俺なんだが。
つづく!
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