第33話 キラキラと輝く二人の少女

 市街地まであと一歩のところまで迫っていたシルバーメタリックの怪人が後方へ吹っ飛ばされた


 一体、誰が!?


 そこにはキラキラと輝く二人の少女が立っていた。


 俺は、エルフィンドールズの二人、エステラちゃんとナタリアちゃんが来てくれたのかと思い、二人の少女を凝視した。

 凝視してみたのだが……。

 

 って、いや、全く違うな。

 んん?

 えっ、いや、誰!?


 現れたのは、俺の見知らぬ少女たちだった。

 一人はポニーテール、もう一人はツインテールの少女二人組。

 二人とも魔法少女のようなコスチュームに身を包んだ、美少女だ。


 誰なんだろう???


 俺が疑問に思っていると、二人の少女が名乗りを上げた。


「私たちは美少女ペア☆ホワイトシュシュ! こっちの怪人は私たちに任せて下さい!」キラーン!


 な、なんだってー!?

 美少女ペア☆ホワイトシュシュ!?


 ……って、いや誰だっけ?

 でもどこかで見聞きしたような気はするが……。


 俺はぐるぐる記憶を巡り、そして思い出した。

 以前、『警視庁公安機動特別部隊組織図』を見て気になっていた第二課へ配属予定の人たちだ。


 すっかり忘れていたが、そういえばそんな人たちがいた。

 知らない間に配属されていたのだろうか。

 何だか分からないが、このピンチに来てくれるとはありがたい。


 ということで。

 黒メタリックの怪人への対応は、第三課対怪人SATの皆さん。

 シルバーメタリックの怪人への対応は、第二課ホワイトシュシュ。

 ゴールドメタリックの怪人への対応は、第一課オレンジャーズ。


 警視庁公安機動特別部隊の総力を上げて怪人軍団に対抗する。

 これならなんとかなりそうだ。


「あっちはホワイトシュシュさんたちに任せましょう!」

「ホワイトシュシュさん、シルバーメタリック怪人を吹っ飛ばしたし、きっと強いですよ」

「ですね。期待しましょう!」

「これでゴールドメタリックの怪人に集中できますね」

「気合いを入れるために名乗り言っときます?」

「ですね! 言っときましょう!」


 五人の俺オレンジャーズはゴールドメタリックの怪人に向けて名乗りを上げる。


「灼熱の炎! オレレッド!」

「新緑の風! オレグリーン!」

「漆黒の闇! オレブラック!」

「煌く稲妻! オレイエロー!」

「癒しの光! ワタシピンク!」


「五人揃って分身戦隊オレンジャーズ!!! ゴールドメタリックの怪人、お前はここで倒す!」


 五人の俺オレンジャーズは気合いを入れた。


 ここで俺は、最初に怪人と戦ったときの再現を目指すことにした。

 俺がタックルして怪人の動きを食い止めて、残る四人の俺赤、黒、黄、桃でボコった戦いだ。


「俺がタックルで抑え込みますんで、そこを四人で攻撃して下さい」

「初戦の再現ですね。了解です!」


 俺はゴールドメタリックの怪人に思い切ってタックルをして、その動きを止める。

 続けざまに、俺レッドと俺ブラックが左右からパンチを叩き込み、俺イエローがキックを放ち、最後に俺ピンクがビンタをする。


 エルフィンドールズ級のパワーを感じるが、ゴールドメタリックの怪人の見た目は昆虫顔だ。

 全く可愛くないので、遠慮なくぶん殴れる。


 ドッガアアアア!


 五人の俺オレンジャーズの総攻撃に、ゴールドメタリックの怪人がボロボロになる。


『ギィ、グギィィィィ、オマエラ、ミナゴロシ、ミナゴロシ、ミナゴロシ……』


 ゴールドメタリックの怪人が、ぶつぶつと物騒なことを言い始めた。


 ゴールドともなると喋ることができるのか……。


 などと思った俺の目の前で、ゴールドメタリックの怪人が自爆した。


 チュッドオオオオオオオオオンンッッッ!


 ものすごい大爆発だ。


「グッヘェェェェェェェッッ!」


 目の前で起きた大爆発により五人の俺オレンジャーズは、吹き飛ばされた。

 俺はかなりのダメージを負い、真っ黒焦げになったが、まだ動ける。

 対怪人用スーツが持つ防御力のおかげだろう。


 そのゴールドメタリックの怪人の自爆が合図となり、黒メタリックの怪人とシルバーメタリックの怪人、全員が自爆した。


 ドオオォォォォンッ!

 ドオオォォォォンッ!

 ドオオォォォォンッ!


 自爆により全ての怪人が消滅した。

 街中での爆発は起きなかったので、どうにか怪人の侵入を未然に防ぐことができたようだ。


 ただし大きな爆発だ。

 ホワイトシュシュさんや対怪人SATの皆さんは大丈夫だろうか。

 多数の救護車輌がサイレンを鳴らして救援に来る。


 それにエステラちゃんとナタリアちゃん。

 二人は最後まで、その姿を見せなかった。星幽結社エルリンケイムの内部で、何かが起きたとしか思えない。

 俺は色々な心配を抱えながら、救護車輌に乗り込み本部へ戻った。



 ◇◇◇



 分身戦隊オレンジャーズ!

 地球から悪が滅びるその日まで、オレンジャーズの五人は力を合わせて戦い続ける!

 力を合わせると言っても、もともと全員、俺なんだが。


 つづく!




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