第28話 未知のエネルギー、その果ては
クリスマスも終わり、世間は年末ムード。
そんな中、俺と俺イエローは、エステラちゃんとナタリアちゃんの様子が少しおかしかったことを気にしていた。
「いやー、何か気になりますねぇ」
「ですねぇ。ただ何もできることはないんですよね」
「そうなんですよね。二人が次に来たとき、またスイーツを用意するぐらいですかね」
「そうですね、俺、また買いに行ってきますよ」
ただ気にしたところで何もできることがないので、俺は歯がゆさを感じていた。
そんなとき、第四課技術班の
星幽結社エルリンケイムから教授された技術を利用して、対怪人用スーツを改良したとのことだ。
世間に年末ムードが漂う中、国立科学研究所や第四課技術班に所属している研究者の人たちは頑張ってくれていた。
ひとつめ。
冷暖房機能が付いた。
これで暑くても寒くても安心だ。
ふたつめ。
ナビ機能が付いた。
これでもう道に迷うことはない。
動力源はアストラルエナジーと聞いたが、色々と便利すぎるだろう。地球にたくさんあるというわりに、見えもしないアストラルエナジー。
アストラルエナジーとは、一体なんだ?
そこで俺は、開発者の第四課技術班の
一緒に聞いていた他の
それでも頑張って、頭の中を整理してみる。
※アストラルエナジーとは、高次元に存在し、三次元空間へ抽出する際の手段により様々な物質に変化するエネルギー。
地球に馴染みのある物質で言うと、石油あたりが似ているのだろうか。
※知性を持つ人型種族が死ぬときに発生する。
※エステラちゃんの惑星は人口が四百万人程度しかいないわりに、必要量が多くアストラルエナジーが不足している。
※地球には使いきれないほどの量がある。
地球では昔から多くの人間が死んでいるはずなので、アストラルエナジーが大量に溜まっているのだろう。
※人型種族が死んだとき発生したアストラルエナジーに、意識が残るとアストラル体になる。
※アストラルエナジーが濃密だと意識が残りやすい。
まさに俺が死んだときになった状態だ。
俺はやはり相当に濃密だったのだろう。
※肉体+アストラル体で人型種族になる。
俺の五人分の肉体は、アストラル神のサービスなのだろうか。
※人型種族が放出するアストラルエナジーがアストラルパワー。
※地球人はアストラルエナジーの保有量は多いが、放出する能力がない(
※放出手段は打撃技、投げ技、絞め技なんでも可能。個人の資質によるところが大きい。
※瞬間的に放出量することができる最大値がアストラルパワーの値。
俺は特殊な地球人ということだろうか。
そういえば俺は今まで怪人に対して、殴る蹴るなど打撃技しか使ったことがなかった。しかし、色々な放出手段があるようなので、もっと俺に適した技があるかもしれない。
※いずれにしても三次元空間しか認識できない地球人が完全に理解することは難しい。
※結局はエルリンケイムからもらった触媒がないと、高次元に存在するアストラルエナジーの利用はできない。
俺の頭では理解できないところも多かったが、雰囲気は分かったのでヨシとしよう。
それにしても地球で触媒が作れるようになれば、さらに便利になりそうだ。様々なエネルギー問題も解決しそうだし。
俺は
「アストラルエナジーって便利ですね。触媒が作れるようになればエネルギー問題なんか解決しそうですよね」
「はい、そうですね。確かに当面は良いと思います。ただ……」
俺は呑気に発言したが、
俺は疑問に思い、続きを促す。
「ただ?」
「今は大量に溜まっていたとしても、人類がアストラルエナジーを使い過ぎ、いつの日か枯渇させてしまう。そうなったときは心配です」
「というと?」
「アストラルエナジーは人が死んだときに発生するものです。ということは、アストラルエナジーを確保するために人を殺す。そんなことが起きないとは言えません」
アストラルエナジーを発生させるために行う戦争、虐殺ということか。
あり得ない話ではない。
「……それは怖いですね」
「はい。今のところはエルリンケイムから頂いた触媒がないとアストラルエナジーの利用はできません。だから今の地球でそれほど心配する必要はないですけど」
そういえば、エステラちゃんの惑星は人口が四百万人しかいないと言っていた。
その理由はもしかして……。
この地球で最悪の事態が起きてしまったら。
強欲にアストラルエナジーを求め続けて、殺し合いの果てに滅亡する人類。
そんな未来、考えなくないものだ。
俺はなんだか憂鬱になってきたので、ひとまず怖いことを考えるのはやめて、正月を迎える準備をすることにした。
俺は俺イエローへ話しかける。
「転生して初めての年越しですねぇ」
「どこか
◇◇◇
分身戦隊オレンジャーズ!
地球から悪が滅びるその日まで、オレンジャーズの五人は力を合わせて戦い続ける!
力を合わせると言っても、もともと全員、俺なんだが。
つづく!
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