第22話 二人の幹部が企む計画
地球への遠征を終えた私は、ナタリアちゃんと一緒に結社の宿舎へ戻ってきたところ。
明日はお休み。
「エステラちゃん、明日、ご飯一緒に食べようねー」
「うん、ナタリアちゃん。また明日ねー」
私とナタリアちゃんは部屋が近いので、よくご飯を一緒に食べている。
ナタリアちゃんは料理がとても上手だ。
ナタリアちゃんは美味しいものが好きだし、作るのも好き。
私はというと。
……私の料理だって食べれないことはないかな、うん。
私はナタリアちゃんと別れたあと、宿舎の自室に戻りベッドに寝転ぶ。
いくら楽しいと言っても、やはり遠征は大変だし、とても疲れる。知らない惑星に行くのだから当然だ。
ベテランの皆さんは、何日も遠征に行ってすごいと思う。
今回の遠征について、私から総統への報告はない。
技術班長のカカリーナさんが代表で報告してくれた。
もっとも私とナタリアちゃんに『成果を報告しろ』と言われても、美味しいご飯を食べただけなので、報告できることがないのだけれど。
だけど、親交を深めることも仕事なら、ちゃんと仕事したことになるのかな。たくさんお話をしたし、親交は深まったと思う。
最初に地球へ遠征したときにも思ったけれど、地球には少しだけ懐かしさ感じている。今回は特に緊張感のない遠征だったので、より一層そんな気がした。
そんなわけで、今回は結社の仕事として、総統への報告はなかった。
だけど、私は娘として、お母さんへ地球での出来事をお話をしたいと思っている。
この頃のお母さんは、総統の仕事が忙しそうで、ゆっくりと話をする時間が全く取れない。色々と考えごとをしているようで、元気がないから心配だ。
私がもっともっと頑張って、苦労の多いお母さんを助けてあげたい。
◇◇◇
星幽結社エルリンケイムの本拠地にある個室のひとつ、ドローレア専用の幹部室。
部屋の奥にある大きな肘掛け椅子に座るドローレア。
ドローレアは青紫色の髪をかき上げ、エステラによる地球遠征についての報告書を確認していた。
「……あの小娘、いつもながら呑気に地球へ行っているようね」
ドローレアは苦々しい表情で呟く。
「地球人のような下等種なんて、殺すために存在しているのに」
ドローレアは、エステラを見るたびにうんざりしていた。
「はぁ、あの小娘と総統面をしているアデリナをいつまでも見ていたら気が狂ってしまいそう。早く例の計画を実行したいわねぇ。どう? 他の幹部の動向は?」
ドローレアは、自身が直轄している部下へ確認をする。
「はい。現在、幹部一名とその部下がここ本拠地へ戻っております。こちらがそのリストになります」
「あら、穏健派の幹部じゃない。より計画を確実にするために少し手を回しておこうかしらね」
ドローレアが持つアデリナへの怨恨を晴らすための計画。
それを成功させるため、ドローレアは着々と準備を行なっていた。
――――同時刻――――
天の川銀河の中心部にある、とある惑星。
その惑星にも星幽結社エルリンケイムの拠点がある。
その拠点を中心に副総統のゴルゴスは、付近にある四十七個の惑星を攻略すべく指揮をとっていた。
ゴルゴスは星幽結社エルリンケイム内にある武闘派の筆頭だ。
ゴルゴスはドローレアの推薦で星幽結社エルリンケイムに所属することになり、その多大な成果から副総統の地位まで昇りつめていた人物だ。
ゴルゴスは制圧した一つの惑星に上陸し、周囲を遠くまで見渡せるゴツゴツとした岩場にいた。
制圧した惑星を眺めてゴルゴスは、満足そうな表情を浮かべている。
そのゴルゴスの隣には、ドローレアが赤紫色の髪をなびかせて立っていた。
「ゴルゴス様、計画の決行はいつにいたしましょう?」
ドローレアがゴルゴスに問いかける。
「ん? 計画だと?」
「はい。例の計画でございます。私たちの方で準備を進めておりますので、いつでも決行が可能です」
「ああ、あれか。ドローレアよ。お前はよほどアデリナが憎いようだな」
「はっ、いえ、そのようなことは……」
「ふん、まあいい。そう慌てるな。オレに任せておけば良い」
「はっ、失礼致しました。ゴルゴス様」
ドローレアは、自身の怨恨を晴らすために、副総統となったゴルゴスを利用しようと考えていた―――。
結社の本拠地に存在する青紫色の髪をしたドローレア。
ゴルゴスの脇に存在する赤紫色の髪をしたドローレア。
全くの同時刻、遠く離れたふたつの場所に存在するドローレア。
どちらも間違いなく幹部のドローレア、その人だ。
そう、幹部のドローレアは二人いる。
二人揃って、エルリンケイム悪夢の双頭、分身幹部ドローレア。
◇◇◇
分身戦隊オレンジャーズ!
地球から悪が滅びるその日まで、オレンジャーズの五人は力を合わせて戦い続ける!
力を合わせると言っても、もともと全員、俺なんだが。
つづく!
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