第21話 俺は束の間の平穏を堪能する

 今日はエルフィンドールズがやってくる日。

 しかもプレゼントがあるらしい。


 その話を聞いた五人の俺オレンジャーズは、揃いも揃って浮かれていた。中でも特に、俺と俺イエローが浮かれている。


 俺は最初の戦いで、エステラちゃんにぶっ飛ばされた。

 そこで一言だけではあったが、エステラちゃんと会話をした。

 そのおかげで、俺はエステラちゃん推し。


 一方、俺イエローの方は、ナタリアちゃんにぶっ飛ばされた。

 そこで『あ、やり過ぎちゃった。ごめんね♡』と言われて、俺イエローはナタリアちゃん推しになっている。


 俺も最初の戦闘でナタリアちゃんに可愛く『ごめんね♡』と言われたら、ナタリアちゃん推しになっていたことだろう。

 好みが同じ俺同士なので、推しが被る確率が高いわけだが、今回は推しが被らなくて幸いだ。


 ということで、特に俺と俺イエローはソワソワしながら待っている。

 そんな中、予定の時刻になり、エルフィンドールズが姿を現した。


 俺は姿を現したエルフィンドールズを見て大興奮した。

 というのも今日の二人の姿は、いつものコスチュームではないからだ。

 今日の二人は初々しいビジネススーツを着用している。

 日本での会議に適した服装で出席したいと星幽結社エルリンケイムから要望があり、第四課のともちゃんが用意したものに着替えているのだ。


 短めのタイトスカートに黒のストッキング。

 すごく良い。


 エステラちゃんとナタリアちゃんは、ともにスタイルが良く、タイトなビジネススーツがよく似合っている。


 俺は黒ストッキングが好きだ。

 当然、他の四人の俺赤、黒、黄、桃も同じだろう。


 しばらくの間、俺はエステラちゃんに気を取られていた。

 そのため気がつくのが少し遅くなったが、知らない人が一人いた。

 あれは誰だろう? と思ったら紹介があった。


「星幽結社エルリンケイムの技術班長カカリーナです」


 今度は銀髪ロングのセクシー美人さんの登場だ。

 星幽結社エルリンケイムは、綺麗な女性しかいないのだろうか。

 見た目で採用しているのかと疑問に思う。

 それとも容姿が整った人しかいない種族なのだろうか。


 俺がそんなことを思っている間にも、粛々と会議は進行していた。


 カカリーナさんが色々と星幽結社エルリンケイムの持つ技術について、説明してくれる。

 しかし、五人の俺オレンジャーズは理系ではないので、難しいことはさっぱり分からない。

 そんな俺だが、分かったことといえば。


 まずひとつめ。

 カカリーナさんの上司には、ラゾワールさんという科学者の幹部がいる。そして、カカリーナさんとラゾワールさんの二人で、星幽結社エルリンケイム全ての戦闘服をデザイン、開発をしたそうだ。


 それを聞いて、俺は思った。


 手、腕、胸、太もも、お尻、脇、へそ、鎖骨……様々なフェチを満足させるようなデザイン。

 エステラちゃんとナタリアちゃんとで、わざわざ微妙に違うデザインにしていることからも職人のこだわりを感じる。

 小難しい機能面のことは分からずとも、そのデザインを見ただけで天才であることがよく分かる。


 ということで、俺はこの情報を聞いた時点で、カカリーナさんを崇拝した。


 続いてふたつめ。

 対怪人用スーツをバージョンアップしてくれる。

 その作業を通じて、地球人にとっては未知の物質であるアストラルエナジーを利用するための基礎技術を教えてくれるということらしい。

 アストラルエナジーを利用するためには触媒が必要で、今回、星幽結社エルリンケイムが製造した触媒をプレゼントしてくれた。


 俺にとっては難しくて、聞いてもさっぱり分からない話だったが、国立科学研究所の小根博士やその孫で第四課技術班の小根こずえコネコさんなどは興味深そうに聞いていた。


 そうして、カカリーナさんから話を聞いているうちに昼食の時間となり、参加者全員で小洒落た日本料理を頂く。

 美味しそうに、もぐもぐ食べるエステラちゃんがとても可愛い。


 午後からは、さらに小難しい話になるらしく、五人の俺オレンジャーズからは対怪人用スーツの開発に協力した俺ブラックが代表で参加。その他のメンバーは、お役御免となった。


 別室で手持ち無沙汰にしていると、エステラちゃんとナタリアちゃんが来てくれた。今度のために、親睦を深めるのも良いという計らいだ。


 大人っぽいビジネススーツに身を包んだエステラちゃんとナタリアちゃん。地球や日本について、質問があるらしい。


「ランチ、すごく美味しかったです。いつもあんなに美味しいものを食べてるんですか?」

「ナタリアは甘いものが好きなんだけど、美味しいものはありますか?」


 どうやら二人が気になっているものは、美味しいもののようだ。見た目に反して、色気もビジネス感もまるでなかった。

 

 そうして、ほんわかした時間を過ごしているうちに、終了の時間となってしまう。名残惜しいが仕方がない。


「俺イエローさん、今日は最高の一日でしたね」

「ええ、全くですね、俺グリーンさん。最高でした」


 いつまでも続いて欲しいと思える平和で良い一日だった。



 ◇◇◇



 分身戦隊オレンジャーズ!

 地球から悪が滅びるその日まで、オレンジャーズの五人は力を合わせて戦い続ける!

 力を合わせると言っても、もともと全員、俺なんだが。


 つづく!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る