第12話 私はエステラ、お母さんは……
異次元空間を越えた先にある、とある惑星。
そこには星幽結社エルリンケイムの本拠地が存在する。
私の名前はエステラ。
だけど、地球では『エルフィンドールズ』と呼ばれているみたい。
地球の皆さんが名付けてくれた、エルフィンドールズという呼び名。私は、この呼び名を気に入っている。
新人なのに、幹部みたいなネームドで嬉しいな。
ありがとう、地球の皆さん。
私は総統から任命されて、地球という惑星、そこにある日本という国が担当だ。
その日本に拠点がやっと完成した。
なので、私は今から、これまでの成果を結社の総統へ報告しに行くところ。
総統へ報告する前に、一度しっかり振り返っておかないと。
第一回、地球遠征のこと――。
黒メタリックの作業員さんがすぐに倒されてしまうので、私たちは現地がどうなっているのか、状況を確認に行った。
そのときの私は、初めての地球遠征で、とても緊張していた。
私たちが地球へ到着すると、そこへ五人組の皆さんがやってきた。
私たちの前に現れた五人組の皆さんは、何かコソコソと話をしたあと、何をするわけでもなく、じーっと私たちを凝視してきた。
私はその行動を不思議に思い、とても気持ちが悪かったことを、よく覚えている。
あれは一体、何だったのだろう。今でもよく分からない。
だけど、私が『見過ぎですよ』と注意したら、すぐに謝ってやめてくれた。気持ちが悪いけれど、悪人ではないのかなと私は思った。
でもそのあと、五人組の皆さんに、いきなり襲われてびっくりした。
だけど、襲ってきたにも関わらず、五人組の皆さんはすごく弱くて、そのことの方にもっと驚いた。
私が軽く振り払っただけなのに、吹っ飛んじゃうから。
あまりのやられっぷりで心配になった私は、様子をそーっと見に行った。見たところ、まだ意識があったので、私はホッとした。
だけど、ホッとしたのも束の間、なぜか名前を聞かれて、私はまたまた驚いた。
気持ち悪くて少し怖かったけど、教えてはいけない規則はないので、私は普通に名前を教えてあげた。
私に名前を聞いてきた人は『緑川タカシ』、通称『俺グリーン』というらしい。
吹っ飛んでいったわりに元気そうで話ができる俺グリーンさんを見て『大丈夫そうで良かったですね』と思って、私は帰り際にウインクをした。
そのあと俺グリーンさんは、何か一人でぶつぶつ言っているようだった。なんだったのかな。
私にとって初めての遠征地、地球。
私には理解のできないことが色々と起こる。
ただ結果としては、その戦い以降、五人組の皆さんが現れなくなり、拠点が無事に完成した。
これなら役に立ったと思っていいのかな。
――――よし、こんなところかな。
私は総統の腹心フォレナさんに促されて総統室へ入室、総統へ地球での成果を報告をした。
「……以上で報告を終わります。おか……、アデリナ・アウストリア総統!」
「そうですか。ご苦労でした、エステラちゃ……、こほんっ、エステラ・アウストリア。もう下がって良いですよ」
報告の最後にホッとして、総統と呼ぶところを、お母さんって言いそうになっちゃった。
結社内で、お母さんと呼ぶと怒られる。
結社内だし、当然だよね。
だけど、お母さんもエステラちゃんって言いそうになってるし。
私の名前は、エステラ・アウストリア。
お母さんの名前は、アデリナ・アウストリア。
私のお母さんは、星幽結社エルリンケイムの現総統で、お父さんは前総統。
私はそんな二人の愛娘。
私の力はとっても強い両親から引き継いだもの。
◇◇◇
分身戦隊オレンジャーズ!
地球から悪が滅びるその日まで、オレンジャーズの五人は力を合わせて戦い続ける!
力を合わせると言っても、もともと全員、俺なんだが。
つづく!
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