第8話 いぶし銀の俺に感謝しかない
今日の俺は、病院の天井を見上げながら、約一ヶ月ぐらい前に開発中と言っていた対怪人用スーツのことを思い出している。
そういえば対怪人用スーツの件はどうなったのか。
また今度聞いてみよう。
◇◇◇
【約一ヶ月と二週間ぐらい前のこと】
所長は小根博士という国際的に権威のある人物らしい。
「権威があるすごい研究所らしいですけど、どんな検査をするんでしょうね」
「まあ注射さえなければ何でもいいですよ」
「ですよねー」
俺は注射が嫌いだ。
当然、周りにいる
「これがアストラルパワー測定器です」
世界各国の研究者の叡智を結集して開発されたアストラルパワー測定器はCTスキャンのような装置だった。
世界各国の研究者皆さん、ありがとう。これなら怖くなさそうだ。
アストラル測定器の見た目に安心した俺は、鼻歌混じりに検査着に着替え、各種の検査を受けた。
アストラル値の測定自体はなんてこともなかったのだが、検査項目の中に血液検査があり普通に注射をされた。
全ての検査が終わり、帰ろうとする
「オレンジャーズさんの中から誰か一人で良いので、対怪人用スーツを開発するために協力して欲しい」
対怪人用スーツの開発に協力?
付き合い始めたばかりの俺レッドと俺ピンクに、時間を取らせるのも可哀想なので、ここは俺が協力しよう。
そう思って、俺が手を上げようとしたら、その前に俺ブラックが手を上げてくれた。
多少の会話のあと、協力者は俺ブラックに決定した。
それからの俺ブラックは、日々の訓練や座学のあと、さらには怪人と戦って疲れたあとにも一人で国立科学研究所へ出向き、対怪人用スーツの開発へ協力した。
俺と俺イエローが飲みに行ったり、俺レッドと俺ピンクがイチャイチャしている間に一人でだ。
俺は『同じ俺なのに、いぶし銀の仕事っぷりだ。感謝しかない』そう思った。
このところ俺レッドが先頭に立って目立つようになってきたが、状況を見極めた俺ブラックがバランスを取り
俺は不平も言わずに頑張る俺ブラックを尊敬する。
無事に対怪人用スーツが完成したら、俺イエローと一緒に行った居酒屋へみんなで行こう。
落ち着いた雰囲気に美味い料理、俺ブラックもきっと気に入ってくれるだろう。
いぶし銀になってきたとはいえ、だって俺だし。
数日後、
全員、同じ値だった。
アストラルパワー『80』
一般人の平均的なアストラルパワーはたったの『1』らしいので、
一般人にはない特別な力を全開(80)で使って、怪人の相手をするとしよう。
◇◇◇
異次元空間を超えた先にある、とある惑星。
そこには星幽結社エルリンケイムの本拠地が存在した。
そこでは
そのうちの一人、上品なピンクブラウンの髪色をした可愛らしい少女(怪人)の名前は、エステラだ。
「エステラちゃん、ちょっと胸、大きくなった?」
「うん、そうなの……って、そんなに近寄って見ないでー」
エステラの隣にいる少女(怪人)は、エステラの胸に触れそうなほど顔を寄せていた。
「地球の人もずーっと見てたよね。珍しいからかな? おっぱいが好きなのかな?」
「ねー、どうなんだろうね? あっ、思い出したらまた恥ずかしくなってきた」
薄着になった二人の少女(怪人)がワチャワチャと雑談をしているうちに、アストラルパワーが測定された。
「エステラちゃんは、アストラルパワーいくつだった?」
「私は少しだけ上がって1600になったよー」
「そっかぁ、エステラちゃんは、もう1600かー」
「うん。だけど今回は緊張して力が出せなかったから、次はもっと頑張らないと」
初の遠征では緊張して実力を発揮できなかった少女(怪人)エステラ。
次回の遠征では全力(1600)を出すことを誓うのだった。
◇◇◇
分身戦隊オレンジャーズ!
地球から悪が滅びるその日まで、オレンジャーズの五人は力を合わせて戦い続ける!
力を合わせると言っても、もともと全員、俺なんだが。
つづく!
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