第4話 俺は少女(怪人)に襲いかかる
俺は敵を知るため、二人組の少女(怪人)を観察した。
ただ俺には、眼前にいる二人が怪人という存在でありながら、可愛い普通の少女にしか見えなかった。
俺はさらに一人ずつ凝視する。
周りにいる
正義の戦隊とは思えない光景だが、仕方がない。
まずは左側にいる少女(怪人)。
明るいオレンジベージュの髪色で外ハネボブ。
目がくりっとしていてニコニコしている。
元気で活発そうな娘だ。
そして少し小柄で幼い感じが残るのに、へそ出しルック。
ほどよく引き締まった腹筋がたまらない。
まるで小悪魔。
次に右側にいる少女(怪人)。
上品なピンクブラウンの髪色に、ひしがたシルエットのふんわりとしたミディアムヘア。
この娘は清楚系に見えるのに、思い切りのよい肩出しだ。
その上、露出の多いコスチュームを着ておいて、少し恥ずかしそうにするとか反則だろう。
まるで妖精。
五分ほど経った頃、その膠着を打ち破るように、右側の清楚系少女(怪人)が大きな声を張り上げた。
「もう見過ぎですよっ!」
「えっ、あっ、すみませんっ!」
右側の清楚系少女(怪人)に注意された
我に返った
「あっ、襲ってきた。それならっ! やあっ!」
「えっ、急になんですか! えいっ!」
二人組の少女(怪人)は、そう言うと同時に反撃してきた。
ドガッ!
バキッ!
ズガッ!
ゴスッ!
パチッ!
一体、なにが起こった!?
な、なんだ? 身体が動かない?
ま、まさかこんな可愛いらしい少女(怪人)に、あっさりと倒されるとは……。
二人組の少女(怪人)は驚異的に強かった。
今まで倒してきた黒メタリックの怪人の比ではなかった。
仰向けに倒れた俺に、右側にいた清楚系少女(怪人)が、ゆっくりと歩み寄ってくる。俺にトドメを刺す気だろう。
まだ転生して約三ヶ月なのに。
短い戦隊人生だった。
だが、これも勝負の結果だ、仕方がない。
そうだ、最期に名前ぐらいは聞いておこう。
「……俺の名前は
「えっ、わ、私の名前ですか!? え、えっと、私の名前はエステラです。これから地球で活動させてもらいますね」
自らをエステラと名乗った少女(怪人)は、俺に顔を近づけてきた。
俺は最期だと思い覚悟を決めたが、その必要はなかった。
「もう私たちに逆らったらダメですよー♡」
そう耳元でささやいた清楚系少女(怪人)の言葉に威圧感などはなく、純粋な労わりの気持ちが伝わってきた。
清楚系少女(怪人)はその言葉のあと、去り際にウインクをして、優しく微笑み、宙を舞い異次元空間へと帰っていった。
な、なんだ!?
帰っていったぞ!?
俺を殺さないのか!?
それにあの天使のような笑顔はなんだ?
悪の組織の戦闘員ではないのか?
名前も言っていったし。
エステラさんか、怪人なのに可愛いが過ぎるだろう。
……ああ、そうだ、この出会いは、きっと運命に違いない。
若干ストーカー気質がある俺なので、エステラさんをライバルとして認定させてもらうことにした。
ただ俺には、エステラさんたちは敵ではない、そんな気もした。
◇◇◇
分身戦隊オレンジャーズ!
地球から悪が滅びるその日まで、オレンジャーズの五人は力を合わせて戦い続ける!
力を合わせると言っても、もともと全員、俺なんだが。
つづく!
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