嵐の日
退院の日は嵐だった
病院に両親が迎えに来てくれた
少し痩せた自分を見て嬉しそうだ
しかし、私の中身はすっかり変わっている
母親が手続きを済ませた後
轟轟と降る雨の中、3人で車まで走っていった
家に帰り、長く引きこもっていた自分の部屋に入る
部屋が少し小さく感じる
なんとなくヒキコモリ治療の効果を感じた
メイドのかわいい女の子のポスターを見ながらつぶやいた
『・・・レモンちゃん・・』
今でも魅力的な女の子には変わりないが、2次元のイラストだ
いつものように、いつもの定位置に座りゲームをしようか?
体に染みついた習慣を始めようか?
しかし、今はゲームが少し面倒に感じる
入院前の自分と今の自分の違い
自分は変わってしまったんだと実感した
これでいいんだ
これが正解なんだ
今は、この部屋にいるのもやめよう
この新しい道を選ぼう
広いリビングに座る
外の台風せいで、昼間だが部屋がくらい
・・・落ち着かないが、気分はいい・・・ちょっと出かけるか
『コンビニいってくる』
そう母親つげた
母親が驚いた
『えっ?ショウタ?・・・・すごい天気よ?』
もうヒキコモリではない、外出はその証でもあった
玄関で靴をはく
ドアを開ける
そこは嵐であった
傘もさせないほどの嵐でああった
ショウタは家を飛び出し、コンビニへ向かった
『ヒャッホーーー』
『うううぃぃぃええええぃぃーーーーー』
両こぶしを突き上げ、思わず大きな声を上げた
自分は劣等な人間ではない、その感情がこみあげきた
嵐なので、誰もいない
雨と風の声もかき消された
雨の中、駆け回った
目に入る雨も気にならない
ヒキコモリがやると警察をよばれるだろう
陽気な人間やるなら、そうはならない
自分はまだその境目にいるとも感じていた
コンビニに近づき、異常行動は控えた
10分ほど雨のななかを散歩しコンビニに着いた
冷静に自動ドアをくぐる
なにか必要なものがあるわけでもない
嵐の中をずぶ濡れになりながらコンビニにやってきた
台風の影響もあって菓子パンとお弁当は売り切れていた
タオルを買って店を出ようとすると張り紙を見つけた
『バイト募集中』
ショウタはためらいなく店員の年配の男性に声をかけた
『バイト募集しているですか?』
店員はこのコンビニの店長だった
『してます。してます。大募集中です。
今日から働ける?』
『・・・・・今日から?』
その時だった、コンビニの照明が点滅して、あたりが急に暗くなった
『あ、やば』
コンビニの店長は続けた言った
『今日は台風で私しかいないのに・・
でもキミが来てくれて助かった
停電って、お客さんが増えるし、レジが使えないし
ひたすら忙しいんよ』
『お手伝いしますよ』
ショウタはその場の雰囲気で仕事が決まってしまった
とびだせ野獣 おむすびロコロコ @nobson50000
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