第57話 エルフの姫様


 後のものも全部試してみる姫様はこれを持っているだけ全部欲しいと言うが、爪切りなんか一つあれば十分ですよ?と言うと下々に配るというので大量に出した。

 ケーキは日持ちしないと言うとここにいる間は持ってきてくれと言われた。

 飴玉なんかはいっぱいあったのでそれは置いといた。

「他にも面白いものがあれば持って参れ」

「分かりました」

 ようやく終わりそうだったが、

「この国にいてはくれぬか?」

「私は旅人なのでそれは」

「残念なのじゃ」


 ようやく帰してもらいシャンプーなどもタルで全て渡してきたからまた用意しないとな。

「全部渡して良かったの?」

「あぁ。また持ってくるさ」

「それより異世界ってどういうことさ?」

「ウェンとアースには言ってなかったな。俺とモニカは別の世界の人間と動物なんだよ」

 ウェンは肩を落とすと、

「だから不思議なんだね、あんたの考え方とか言動も、ようやくわかったよ」

「オラは良くわかんないけどヒロトはヒロトだよ」

「そう言ってくれると嬉しいよ」


 宿を取って部屋に集まると、

「みんなこっちの扉はわかるだろ?」

「悪魔の扉だよ」

「な?でこっちの扉は?」

 俺は日本への扉をだした。

「ん?そっちに何か出したのかい?」

「そう、こっちの扉は見えないんだよな」

「扉があるのか」

「そうなんだよ」

 悪魔の扉をアイテムボックスに入れて日本への扉を開けて入るとモニカもついてきたようだ。

 どーせあっちの時間は止まってるから今のうちに樽シャンプーなんかを追加しとく。

 新しいものかぁ?何があるか街ブラしてみる。鏡が貴重みたいだから姿見を大量発注しとくか、あとはみんなで集まる時ように折りたたみテーブルを二つ、後は百均でガラス製品にチャックなんかは流石に作れないだろうけどいちおう買っとくか。

 帰ってネットでジルコニアのダイヤモンドカットがカラバリも多くて安いのを大量に注文しておく。二、三日で届くのでそのままこっちで色々やっておく。届いた順にアイテムボックスに入れていく。


「ただいま」

「えっ?何かした?」

「そうなんだよ、あっちに言ってるとこっちの時間が止まってるんだよな」

「へぇ、そう言う裏技があるんだ?」

「え?」

「みょーに元気だと思ったら自分だけ休んでたな?」

 さすがにウェンにはバレたか。

「おぉ、ばれたか」

「で?買い出しは終わったの?」

「できるだけ買ってきて見たけどとりあえずは折り畳みテーブルを出してと」

 脚を伸ばしてテーブルにすると驚く三人。

「凄いねこれ!」

「テーブルができちまったよ」

「オラもビックリ」

「ニャー」

 モニカは知ってるだろ!

「大物がまだ一つあってコレだな」

 姿見を出すとアクアとウェンが興奮してる。

「これは一つ欲しい!」

「あぁ、女子で一つ持っといてくれ」

「やった!」

 後はと色々出すがビックリしっぱなしだな。最後にジルコニアを見せると。

「綺麗」

「…」

「おぉ」

「安モンだけど綺麗だろ?」

「これが安いの?どう言う世界なのよ?」

「これは高く売れるわね」

「欲しがる人がたくさんいるよ?」

「あぁ、今出したのはほんの一部だ、これをピアスや指輪にしたら売れるだろ?」

「絶対買う!」

「欲しい」

「だから次はドワーフ国な訳だ」

「おおー!」

「それはいいね!」

「このテーブルの仕組みも簡単だから真似して貰えばいいしな」

「そうなんだ!」

「いや、異世界凄いわ」


 次の日も王城に呼ばれて姿見などを見せると姫様も立って大喜びしてた。

 最後にジルコニアを見せると手に乗せて固まっていた。

「これを指輪なんかに加工するのにドワーフ国に行こうと思いまして」

「すぐにドワーフ国と交渉じゃ!これはもらって行くぞ」

「どーぞどーぞ」

 大真面目の姫様の前で笑ってしまいそうになってしまった。だって安物のジルコニアであんなに喜ぶとはな。


 ようやく解放されて街で売り出すと行列ができた。そんなに欲しいか?まぁ、こっちのものじゃないし欲しいよな。

 今日もたくさん売れて嬉しいやらなんやら。

 

 次の日も王城でケーキを食べる姫様にジルコニアは足りますかと聞くとまだあるのかと聞かれてあると答える。調子に乗って100個入りを三袋買ってあるので一袋出すと姫様はくらっときたようだ。

「なんじゃこの塊は」

「全部ジルコニアなんで差し上げますよ」

「はう!これは早くドワーフ国で作ってもらわねばな!」

「あはは、そうですね」

「ちなみにこれはまだあるのか?」

「ありますよ」

「では民にも売るといい、細工師がこちらにもいるからのう」

「分かりました」 


 王城からの帰り道で姫様の言っていた細工師のところへ持って行くと一粒を見て固まっている。

「で?どうですか?」

「やります!作ります!作らせてください!」

「じゃあ百粒置いていきますので素敵なものをお願いしますね」

「はい!ありがとうございます」

 細工師の元を離れて、いつもの売り場に行くと行列ができていたので開店して商品を売る。

 これでエルフ国での旅は終わりかな?

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