第56話 久しぶりの商売


 大繁盛なのはいいがハイペースすぎないか?樽のシャンプーとコンディショナーもそこをついて久しぶりに行ったもんだから人が変わってて説明するのに時間がかかったし製品も新しくなってやがった。

 というわけで新発売のシャンプーとコンディショナーの売れ行きも好調。ケーキも好調。コームなんかを出したらもっと好調になって、仲間のみんなにジト目でみんなに見られる始末だ。売るもの増やすなということだろうな。


 そろそろ次の街に行こうかと思っていたらここの領主からこの町で店を開かないかと持ちかけられた。丁寧に断って急いで街を出ると次の街を目指す。

 次の街まではそう遠くなく2日でついたがもうここまで噂が広まってるようで着くなり商売をさせられた。

 宿に帰り今後どうするかを決める。

 エルフ国はもういいや。ということになりこんどはドワーフの国を目指すことにする。

そこまでに五つの町を通って行かないといけないのがネックだがしょうがない。


「はーい店じまいでーす」

 ゾロゾロと帰って行く客たちを横目に溜め息をはく。ようやくあと一つの街を目指すことになったが、これまでの街での疲労が溜まっている。


 次の日は朝から、

「明日は休みにしまーす」

 売りながら言って行く。みんな、買い溜めをして行くのでいつもより多く出して売っておいた。


「と言うことで今日は休みだからね!」

「遅い!判断が遅い」

「オラも疲れちゃった」

「わたしもー」

「ケーキ食べる人?」

「「「はい」」」

「食うんかい!」


 二人部屋にアクアとウェンが来てケーキを貪っている。

 アースも食ってるけどな。

 俺はコーヒーだけで満足だ。

「で?なんで集まったわけ?」

「いや。なんかあるかなーって」

「なんとなく?」

「あっそ。んじゃ買い物にでも行く?」

「売ってるもの一緒だし」

「だよねー」

「オラも飽きただよ」

「だから繁盛すんのな」

 エルフの里に見どころはほとんどない。神樹と言われる木があるがここからでも見えるほどでかいので行く気にならない。


 んじゃ地図でも見ようか!

 この小さな国たちはひしめき合っている。

 エルフの里、ドワーフ国、ホビット国、獣人国の四つの国と部族が何種族かいるだけだ。

 エルフは見たことなかったが他は見たな。

 悪魔はどこに住んでるんだ?

 扉を開いて中に入ってみようかな?

 そうしたらどんなふうに生活してるか分かるんだけどいまいち乗り気になれないし、もし俺が死んだとしたら俺が操られるんだろ?そしたらヤバいしな。


 まぁ。帝国も回ったし飽きたら王国に行って最初から回るのも楽しいかもな。


「で?どうするの?」

「ここまで来たから回るよ四カ国」

「で獣人国からは?」

「王国に入ろうか?入ったことないよね?」

「うん!ちょっと楽しみ」

「まぁ、ね」

「オラも行ってみたいだよ」

「ニャー」

「まぁ、あんまり変わり映えしないけどね」


 そのあとはのんびりして一日過ごし、次の日は怒涛の買い物戦争である。

 一日休んだくらいでそんなにならなくても良くない?まぁ、今日が最終日だから買い溜めしてるのは分かるけど樽?樽では売ってません。


「はぁ、つかれた」

「商人も大変ね」

「あと一つ街が残ってるのが恐ろしいわ!」

「あの目が怖いだよ」


 次の街に行くまでがお休みでーす。

 御者は交代して俺がしている。頭のいい馬だから快適だな。

 最後の街に着いたのは夜中だったので外で野営をする。魔物がちらほらいるが門の前なので寄ってこない。

 思いっきり寝て朝起きたら軍に囲まれていた?なぜ?

 てっきり歓迎ムードだと思って見たら最後の街で軍に連れられて城に連れて行かれる。


「姫の前だ跪け」

「…」

 言われた通りに跪く。

「楽にして良いぞ」

「楽にしろ」

 普通に立つと、

「あの、我々に何かご用でしょうか?」

「この世界の人間ではないな?」

「…」

「無言だと言うことは言い伝えは本当であったか」

「は?」

「この世に無いものを売る、この世のものではない人物に逆らうべからず」

「…」

「どこから来たのじゃ?」

「帝国からですが?」

「本当は?」

「…異世界」

「ほう、異世界とはまた難儀なことよのぉ」

「別に?難儀ではないですけど」

「妾にも売ってもらえんじゃろうか?」

「いいですよ、どれほどの量を?」

「とりあえず異世界のものを一つずつ」

「分かりました」

 ケーキ、シュークリーム、シャンプー、コンディショナー、コンパクトミラー、コーム、爪切りと出して行くと皆がおおっと言っている。

「アイテムボックスか、しかし不思議なものばかりよのぉ、どうやって使うんじゃ?其方、使ってみせるのじゃ」

「は!」

 まずはケーキは食べ物だと言うと、

「では食べます。うー、美味い!これは美味いです!甘くて美味しいです」

「次も食べ物です」

「これも?では食べます!こ、これもまた美味い!甘くて美味しいです」

 あとは、シャンプーとコンディショナーは使ってきてもらうとサラ艶髪になって戻ってきたし、コンパクトミラーは歪んで無い鏡だと喜ばれる。コームは地肌が痛くない櫛です。爪切りは楽です。など、一通り見せた。


「妾にもケーキとやらを貰おうか」

 ケーキを出すとさっきの人が持って行く。

「う、美味いのじゃ!甘味は好きじゃがこれが一番なのじゃ!」

 姫様の相手は続く。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る