第54話 悪魔の所業2
質素な食事だけじゃ足りなくてハンバーガーを食べると明日この街を散策してみることにした。
次の日の朝もやはりクズスープにパンだったのでハンバーガーを食べて外に出ると皆やる気がないのか生気がない。が、これいくらと聞くと高い!買わないと分かるとまた正気が無くなったように座り込む。
この街の領主の館はそれは立派な作りだったが門兵もやる気がないのか商品を売りに来たと言ったらすぐに門を開けてくれた。
中に入ると同じようなメイドに連れられて来客室へと案内された。
そして入って来た領主はベタベタと膝と手をついて女の奴隷のように扱われていた。
「この扉は見えますか?」
と聞くと見違えるほど顔を見にくくしているが飛びかかってこない。
「やっぱり悪魔か」
「それがどうしたのじゃ、妾はこの豚の主人なんじゃぞ?との扉を買おうではないか」
「あいにくこの扉は売り物じゃなくて悪魔を見抜くために使ってるだけなんでね」
「な、なんぞ!そんなことに使っていいものじゃない!すぐに渡しな」
一閃したらすぐに灰になる女。
「こ、この…」
「ご主人様!ご主人様は?」
「あんたは悪魔に利用されてたんだよ」
領主はボーッとしている。
「はぁ、
解呪されると自分が今何をしているのかわからないような感じで俺たちを見ている。
「貴方は悪魔に利用されて税を引き上げたから街はいま潰れる寸前だよ?」
「は?ワシが悪魔に?なぜだ?ここ最近の記憶が」
「まぁ、操られてたんだからしょうがないね」
「だれか!だれかおらぬか!」
「はい!」
「台帳を持って参れ」
「はい!」
持ってこられた台帳はきちんとつけられていたらしく。
「何故こんなことを、その悪魔とやらは」
「退治したから貴方は無事なんですよ」
「そうか、ありがとう!税は一時停止する!皆にそう伝えろ」
「はい!」
なんとか持ち堪えられそうだな。
「街の方も見て回るのがよろしいかと」
「あ、あぁ、そうだな!どうなっているのか見なければ」
閑散とした街を見て膝をつく領主は自分がしたと思っているがそのせいは悪魔のせいなのだが。
「みんな!悪かった!苦しかっただろうに!これからは良き領主として働く!本当にすまなかった!」
みんなかけよりすぐに領主を起こすと、
「戻って来てくれると信じてましたよ」
「よかったです」
「待ってました」
と口々にそう言うと領主は涙を流す。
「これでクズスープじゃなくなるね」
「あぁ、一件落着ってとこかな?」
だが金を集めて何をしようとしていたのだろうか?領主が戻ると言うのでついて行かせて貰う。一部屋丸々大金貨や金貨がおいてある場所があったし、ただ金が大好きなだけなのかもしれないな。
「な、なんじゃこれは?」
夥しい血の量と骸骨など。色々な実験をしていたようだった。
さすがに気持ち悪いとしか言いようがなく領主は吐瀉物まみれになって倒れてしまった。
引き出してクリーンをかける。
この部屋で何がしたかったのか分からないが、悪魔の所業とは理解し難い。
目覚めるのを待ち領主と話をする。
女が来たことは覚えているらしいがそこから記憶がなくなったそうだ。
これから街の復興に努力せねばと言っていたので大丈夫だろう。
と思って外に出た瞬間、ガシャ髑髏のような魔物が館を破壊して出て来た。全て骸骨でできていて気持ちの悪い魔物だ!
「なんだよあれ!5、6メートルはあるぞ」
「あれを研究していたのか?」
「来るぞ!」
“ガギンッ”
と剣で受け止めるが力が半端ではない!
「オラの仕事なんだな」
“ドォン”
と、シールドバッシュをかますアースにずるりと滑る骸骨。倒れたこと所に「ファイヤーストームをぶつける。
『ウォォオォォ』
「ダメ押しのサイクロンだ」
「サイクロン」
風の魔法で火の嵐を活性化させると燃え尽きていく。上半身が動かなくなると下半身はそのまま崩れ落ちてしまった。
「領主!」
「ぃたぃぃ」
助け出してヒールをかけるとようやく事態が分かったみたいだった。多分奴隷を集めてあそこで殺してガイコツで巨大なガイコツを、作っていたのだろう。
下半身になっていた部分の骸骨も集めて弔うと、亡霊が登っていくような光景がみえた。
亡くなった人には悪いが魂が本当にあるんだなぁと思ってしまった。
次の日からは大工が館を工事している。
領主は俺たちと同じ宿に泊まった。
宿の食事も豪勢とは言わずに普通になってよかった!
皆の正気がみなぎっているのが分かるが売り込みが強すぎる!しょうがないから買うけどさ。
あとこの街の奴隷商は排除された。と言うか売った奴隷があんなふうにされていたら誰だって嫌になるか。
帝国で奴隷商のいない街として続けばいいのだがな。
俺たちはゆっくりしてからまた旅に出る。今度は国境を越えないといけないからな。
そして俺たちは国境に近付いていた。
「アース、ブレーキ」
「ほい」
“キイィィィィ”
「と、ここが国境?」
「みたいだな」
谷間に囲まれた自然の国境だった。
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