第53話 悪魔の所業
街を散策してカフェに入るとウェイターが店主だった。コーヒーを待って来るまで次はどこへ行くかを決めていた。
「このまま帝国を回ってどうする?」
地図を見ると小さな国々がたくさんある。
「そこを見て回るのもありだな」
「そうか、旦那がそうしたいならそうするか!」
「決まりだな」
ウェンと二人で話をしてるような物で残り二人と一匹はウズウズしている。コーヒーと紅茶が持ってこられるとスイーツを出す。
「やったー」
「やったーだよ」
「にゃー」
チェールをモニカに上げて、普通に受け取り開けて食べている。
二人はバクバク食べている。
俺とウェンは普通に一つとって食べながら話をしている。
「悪魔はまだいるが少数だろうな」
「旦那が持ってる悪魔の扉で行き来してたならそうだろうね」
「でもやばかったよな!王子が二人とも悪魔だったなんてな」
「やばい国ができるとこだったぜ」
ほんと悪魔はとんでもないな。
本当は一匹残らず駆逐したいけどな。
さて。帝都が窮地だったのは昨日までだがまだまだ復帰するには時間がかかるだろうな。
いろんなところを回ったが奴隷屋まで店じまいしていた。店の奴隷に悪魔がいたんだろうな。
宿に帰ると女将が飯を作っていた。
「スタミナ定食四つね!」
「はいよ!」
四人分のスタミナ定食を作る女将はもう立ち直ってるようだったが、キツイだろうな。
俺だって立ち直るまでに時間がかかったからな。
もう随分と昔に思えるシャルロッテ、チャム、クオン、ヤジリの四人は時々思い出して笑えるくらいにはなっている。
伊藤は死んでから認められるなんて不憫なやつだと笑ってしまうがな。
今いる仲間よりは先に死のうと思っている。俺が最後まで残るなんて真っ平ごめんだ。
だから強くなって守ってやらなきゃな。いや、三人に強くなってもらわなくちゃな。
「まーた一人で考え事?」
「もうケーキない」
「あんだけあったのに?」
「「うん」」
「食い過ぎだ…少しお預け」
「「はーい」」
特注の鎧と剣が完成次第この帝都から北の方に進む王国側だな、そこの街から西に進むといろんな国が密集しているのでそこを回るつもりだ。
一人敵対感知に引っかかる、まっすぐこっちにやって来るので外に出る。
「勝負願おうか」
男は剣一本持ってきていた。
「おう。いいぜ?」
“キン”
力もスピードも俺の方が上だな。
「今ので分かっただろう」
「あぁ。だが、それで納得いくわけないだろ」
「あぁ?お前は悪魔じゃないだろ?」
「あ?そんなん関係あるか!」
「あるんだよ!」
「アイツらの仇は俺が取る」
「お門違いなんだよ!」
「それでも許せねえんだよ」
俺はそいつをボコボコにした。
「辛いかもしれないが悪魔になった瞬間にそいつらは死んでんだよ」
「グッ!クソッ!クソッ!」
弔えない悲しさは分かるが、悪魔の所業に慈悲は無い。
「クソッタレーー!」
俺は宿に戻る。
そいつの敵意はもうなかった。
次の日には特注で頼んだものが手に入り、次の街に向けて旅に出る。
帝都はどう変わるかな?
死んだ王子達も心配しているだろうな。
北に向けて出発する。
帝都から一週間かかってようやく辿り着いた街は荒れ果てていた。
「なにがあったの?」
「お前らは乗っておけ」
「はーい」
俺は降りて中に向かうと敵意剥き出しの男が佇んでいた。
「お前が持ってる悪魔の扉を渡せ!」
「お前こそ悪魔を呼び出して仲間を増やすつもりなのにここの街をこんなにしてどうするんだ?」
「ハハっ!死体さえあればいいんだよ!俺たち悪魔が貰うためにな!」
「それでこの街を壊滅させたのか?」
「そうだよ!あんな甘っちょろいことしてるから行けねぇんだ!最初からこうしとけば良かったんだ」
「むかつくねぇ」
「あ?」
「ムカつくっていったんだよ!」
“キン”
「こいつの体を使ってレベルを上げたからお前なんかにゴブッ!」
俺の拳が脇腹に減り込む。
「あのな。素手でも強いんだよ俺は!」
「なっ!ゴブっ!ゲッ、ガッ!グハァ」
「で、剣を使うともっと強いんだ!強さのレベルがわからなかったのか?」
「グハッ!はぁ、はぁ、な、なんで」
「お前がこの街を潰したんだろ?落とし前つけろ」
「はっ!灰になって…」
「クソ悪魔が!」
どこに死体を隠してるのかと思えば教会にあったので燃やしてやる。
「よかったな、悪魔に支配されずに逝けて」
燃え尽きるまで見届けた俺は馬車に乗って西に向かうように指示した。
「あの街はもうダメだった」
それだけでみんなわかったようだ。
野営続きになるがそこはしょうがない。
魔物が出て来るのもしょうがない。
でも悪魔は許さない。
見届けないとな、悪魔の最後を。
それから一週間ほどかかり国境付近の街に着いた。ようやく宿で眠れるとみんな喜んでいる。宿に入ると女将が一人部屋しかないと言うので全員一人部屋になった。モニカは俺と一緒だ。
飯を食いに下に降りると全員が下にいた。
もう腹ペコのようだ。出て来たのは野菜のスープにパンのみという質素なものだった。
「女将?何故こんなことに?」
「すいません!税が高すぎてそれくらいしか出せなくて」
「そんなに高いのか?」
「はい、旅のお方に言うのもなんですが領主が変わったように金遣いが荒くなってしまったようで」
「前までは普通だったのか?」
「はい、普通より安いくらいでした」
まーた悪魔か?
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