第50話 大盗賊団


「おお、揺れが全然違うよ」

「だろ!これで快適だな」

「ニャーニャー」

「だろ?」

 荷馬車も広くなって快適だ。

 いまはアクアが御者をやっている。横でウェンが見ててくれるからありがたい。

 二頭立てにしてベアリングのついたタイヤだから速い速い。あっという間に別の馬車を追い越して行く。こりゃ、次の街まで3日もあれば着くな。

 と思ってたらなんだこりゃ?

 馬車が止まって立ち往生してしまった。

丸い岩が道を塞いでいる。

土魔法で片側を盛ると、転がりそうになりながらなんとか耐えている。

『なんやわれ!わしを転がすんやない!』こっちを見たのは岩竜と鑑定で分かった。

「お前が邪魔なんだよ」

『われ言葉がわかるんかい?』

「おうわかる」

『腹が減って一歩も動きたくないねん』

「は?なら何か食べればいいじゃないか」

『取りに行くのがめんどいねん』

「ハァ。何を食べるんだ?」

『とにかくあまいものがええなぁ』

「ほら、甘い物だ」

「あ!ケーキだ!」

 アクアが反応するが、

『だめじゃわしのものや』

 ケーキは全部岩竜の腹に収まった。

『まだまだやけどうまかったで』

「あーそうかい、じゃあどいてくれるな」

『おう!またなー!』

 転がり落ちて行く岩竜!転がるなら最初から転がれよな!

「私達のケーキは?」

「また今度な?」

「うー、あの竜め!」

 アクアが怒ってる最中にもう乗り込んだわ俺たちは、アクア乗れ!と言って発進する。

「あの竜今度あったらケチョンケチョンに」

「されるからやめときなさい」

「ぶー」

「まぁ、あの龍が特別なのもあるわな」

「ヒロト喋ってたでしょ?」

「あぁ、しゃべれるんだわ」

「すごいだよ、竜と喋れるなんて」

「まあな」

 ただの異世界人だからな。あ、もうこっちの人間だったな。


 それから次の街までは快調に飛ばして3日で着いた。

 馬車を宿に止めて宿に部屋を取るとまだ昼間だったので街を散策する。この街は良くも悪くも普通の街だな。だがやはりあった奴隷屋。しかも立派な作りの奴隷屋だ。

「私が見てきてやるよ」

「俺も」

「旦那が行ったらぶち壊すでしょ?」

「…お願いします」

「じゃ、アクア行くよ」

「はーい」

 なぜ俺じゃなくてアクアはいいんだ?


 待っていると「旦那ぁー!」と声が聞こえたので行くと大勢の男達が剣を構えている。

「違法奴隷ばっかりだよ」

「らじゃ」

 俺は剣を抜くと、

「死にたいやつからかかってこいや」

 と言って自分からかかって行く!

 とりあえずは、大旦那のようなやつだけ残して全部気絶させてある。雷魔法最高!

「さて、どこから仕入れてるんだ?」

「そんなこと言ったら私の首が」

「まぁ。どっちみち兵士に渡すから斬首になる確率が高いけどな」

「そ、それだけは!い、いいます。この先の街道にトルオ盗賊団がいてそこから買い取ってます」

「それだけ聞ければ十分だ」

“バチィ”


 さてどうするか、ここに店を構えてるのだから兵士は信用ならないな。なら次の街だな。男どもの首を切ってアイテムボックスに入れて行く。もちろん死体も一緒に入れて行くあとで焼くために。大旦那だけ縛って、奴隷を解放して行く。


「ありがとうございます!」

 まぁ、お礼を言われるのは嬉しいな。

あとは大量の大金貨をアイテムボックス に入れて物色したあと大金貨を一枚ずつ彼女達に渡す。

 まぁ、この街はもういいだろ。

 宿で一泊だけしてトルオ盗賊団を目指すとすぐに分かった。

「止まれ!」

「はーい」

 なんとか手前で止まれた。ベアリングが効きすぎてブレーキが必要かな?

「なんでわかった?」

「盗賊臭くてね」

「やれ!」

「うおぉぉ!」

 っと言うまに全員首をアイテムボックスに入れると俺とウェンでアジトに向かう。

「でっかいアジトだな」

「てかよく聞かずにアジトがわかったね」

「こっちの方に人が多かったからな」

「探知系かい?」

「そゆこと」

 でかいアジトに足を踏み入れると大勢の男達が出てくる。こりゃ、大金貨2000枚くらいかな?

 首をしまいながら倒して行くと、大男が出てきた。

「ゴンゾとかの知り合いか?」

「てめぇ、なんで知ってやがる?」

「俺が倒したからな」

「クソッ!てめえが倒したのグエッ」

 腹にパンチをしたら屈んだので、

「これで首が切りやすいよ」

 っといって、首を斬りアイテムボックスに入れる。

 アジトを探索して大金貨が沢山あったのでもらっておく。あとは酒と食い物くらいだ。

 捕まってる人を解放するととても喜んでいた。また、男がいないのは違法奴隷で男を買う奴はいないそうだ。

 あらかたぶち壊すと火をつけるでかいアジトにだから燃えるのに時間がかかった。

燃え尽きたら山火事が怖いので水魔法で消火してようやく盗賊の荷馬車に乗ってアクア達と合流すると、遅いと文句を言われた。


 つぎの街までは6日かかる。俺らの馬車も盗賊の馬車に合わせる。

 6日後にようやく着いた街で門兵に盗賊の首をゴロゴロと差し出して隣町の大旦那も引き渡すと、今度は三日待ってくれと言われた。一応トルオ盗賊団だと言っておいた。

 んで違法奴隷を見せて話が聞きたいと言うのでそちらもお願いした。

 

 懐かしい気分になった。

 初めて嫁達と会ったのも盗賊退治だったな。久しぶりにステータスを見る。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 ヒロト  25歳  ランクA

 レベル357

 力 LR

 体 LR

 速 LR

 知 LR

 魔 LR

 スキル 剣術 体術 短剣術 投擲 槍術 乗馬 解体 鑑定極 身体強化 魔力循環 生活魔法 四大魔法(火、風、土、水) 回復魔法 付与魔法 氷魔法 雷魔法 アイテムボックス 認識魔法 空間魔法 時間魔法 解呪魔法 奴属魔法

 ユニーク 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 流石にバケモンだな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る