第49話 軍
時間が余ってしまったのでギルドの依頼でもしようかと思ったら依頼が少ない。
ここのギルドは正常に動いてるのか?
「ここは軍事基地としても有名なところだから魔物は軍に取られちまってるよ」
「詳しいね。でもそうならギルドはいらないんじゃないか?」
「もしもの時のためだろうよ」
「もしも?」
「もし軍を動かすとなるとここは手薄になっちまうからね」
「なるほどね」
「だからお抱え冒険者なんかもいる」
「へぇ、珍しいねぇ」
「まあ、そんな街さ」
はぁ、一気に冷めてしまったこの熱をどう発散するべきだろうか。
買い物か?食べ物か?悩むとこだな。
「私買いたいものがあるんだけど」
「おういいぞ」
靴屋に行くと鉄板入りのショートブーツを欲しがったので買ってやる。
「やっぱ久しぶりに履いたけどいいかんじだね」
「短剣を使うウェンは体全体を使うのか」
「そうさ!旦那に付与してもらった剣もついてるしね」
ウェンディの短剣は風の属性をつけた。やはり相性がいいみたいだ。
外が騒がしくなってみてみると騎馬隊が行進をしているところだった。今からどちらへ?
「ただの訓練だといいけどね」
「他だと?」
「隣町の防御か戦争」
「戦争があるのか?」
「まだまだ先の話だけど今から行って牽制しないとね」
あの最南端の街が戦場になるのか。
騎馬隊のあとを歩兵が進む。
この世界の戦争は実感が湧かないからな?
魔法でドンぱちやんのか?
「変な顔してるけど、魔法が使えるのが珍しいのよ、ここのチームはおかしいの!」
「そうかそうだよな!魔法がバンバン飛び交うのかと思ったよ」
「魔法兵はいるけど貴重だから余程のことがないと出ないわよ」
「ふーん、どこと戦うの?」
「海を渡った聖教国ってところよ」
「へぇ、行ってみたいね」
「あそこは完全な宗教国家だから行かない方がいいわよ、私達なんて異教徒として捕まるのが目に見えるわ」
「なーんだ、残念だな」
「聖教国は小さな島だから領土を広げたいのよ」
ふーん、自分の国だけで満足しとけよな。
「ということでここでやることはないわ、買い物くらいね」
「ならカフェに行こうか」
カフェに到着して飲み物を注文すると、アクアとアースがソワソワしだした。
「なんだい?何が起こるんだい?」
「ほらよっと。ケーキ&シュークリームだ」
「「やったー」」
「うぉ、綺麗なもんだね」
「美味しいんだよ!」
「オラも好き」
「ニャーニャー」
「ほらお前はこれだろ」
チェールを渡すと器用に食べ始める。
「うまっ!これ美味しい」
「ねっ!病みつきになるでしょ?」
「あぁ、幸せの味なんだな」
また買ってきたかないとな。
「おいお前達!それはなんだ?」
軍服を着た女の人がこちらを指さしてきている。
「ケーキですけど」
「まだあるのか?」
「これで最後です」
「ならこれで買わせてもらおう」
「いやこいつらの分が」
「いいから黙って言うこと聞いときなっ!」
ウェンがいうから聞くことにした。
「それではな」
「ったく、なんだったんだ?」
「あれは上等兵だな。この町ではやりたい放題だろ」
置かれた大金貨一枚を見ながら、
「まぁ、儲けたしまた買ってくるわ」
「おぉ。一個じゃ足りないしな!」
「オラもまだ食べたかった」
「ニャーニャー」
いや。お前は食べてるだろ?
「代わりにこれを食べるといい」
この前買った和菓子を出す。
「これも綺麗だな」
「美味しそう」
「美味しいんだな」
和菓子も好評だった。
宿に戻ると日本に帰り有名な洋菓子店に行き大量にケーキを買っておく。ウェンはブランデーケーキを食べてうまいと言ってたから飲めるのかもしれないと思って各種酒も買っておく。
シャワーを浴びてビールを飲んでると甘えてくるモニカ。
「もうチェールは今日はなしだぞ?」
「ナーウ」
「だめだ」
「ニャー」
「はぁ。一本だけだぞ」
次の日には討伐金をもらい大金貨1000枚だったのでウェンの奴属を解く。
「さぁ、これで自由の身だ」
「ついていくさ、折角だしね」
「あぁ。改めてよろしくウェン」
「あぁ、旦那」
「よし次の街に行くぞ」
「「「おう」」」
「ニャー」
馬車を操るのはウェン、アクアはその横でもう覚えたからやりたがっている。
ゴロゴロと荷馬車は走るが、馬が一頭だときつそうだな。次の街で二頭立ての馬車を買うか。
ヒールやアクセルを使ってやり、馬が勢いよく走り出す。
次の街まで6日かかってようやくついた。
どの街も賑わっているな。
「馬車を買い換えようか。そして改造する」
「わかったけどどうするんだい」
「荷馬車を改造したいんだよ。だからちょっと待ってて」
俺は日本に行ってとりあえず知識がなかったのでネットで調べ、タイヤとサスペンションなんかを買ってボルトなんかも一式揃えた。なかなかの金額だ。
で、異世界にある物とで荷馬車の改造をアースに手伝ってもらいながら行った。
あとは馬を一頭追加した。
これで二頭立ての馬車の完成だ。
試運転もしたし、好調だったので成功だな。
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