第45話 猫


 アースが起きたのは夜中になってからだ。

「アースは腹減っただろ?」

「腹ペコだよ」

「もう女将達も寝てるからこれでも食べろ」

 とハンバーガー渡すと凄い勢いで食べる。

「う、美味いんだな」

「あははいくらでもあるから落ち着いて食べろよ」

「うん!美味いんだな!こんな美味いもん食べたことないんだな」

「そうか、それは良かった」

 ハンバーガーを食べるアースは涙ぐんでた。

「オラは怖がりだでダメかと思った。また売られると思っただがいい主人に出会っただよ」

 涙ながらに話してくれた。

「お前はいい盾役になるよ」

「オラ頑張るだよ」


 それから一か月はその街で盾役にしてアクアが立ち回っていた。

「アース!シールドバッシュ」

「おう」

“ドン”

 大抵の獲物はこれで倒れるが今回は地龍が相手だ、押し負けてないのが不思議なくらいだ。

「アクア!さっさと決めろ」

「わかってるって!」

 喉元を切り裂いて地龍は倒れた。

 すぐに袋に血を溜める。

 アースが地龍を持ち上げてくれるから助かるなぁ。

 今回の地龍は比較的小さかったので対処できたのかもしれないが、アースは凄いなぁ。

「アース、もう奴隷じゃなくなるがこれからどうするんだ?」

「オラはみんなについていきたいだよ」

「あはは、そうか、なら一緒に旅をしよう」

「やったーだよ」

 荷馬車を買って御者を習う。

 乗馬より簡単だな。


 アースにアクアを乗せて荷馬車で次の街を目指す。

「最初から荷馬車にすれば良かったのに!」

「走った方が早いけどアースがいるからな」

「面目ねえだよ」

「アースは悪くないし!悪いのはヒロトだから!」

 なぜ俺が悪いのかわからないが、まぁ、黙っておこう。

 馬車を止める。

「盗賊だぞ?」

「アースいくよ」

「おうだよ」

 2人とも外に出ると、

「なんでばれたんだ?」

「臭い盗賊の匂いがしたからな」

「アースはシールドバッシュ!アクアは適当に」

「「おう」」

 俺は親玉を狙う。

「おう生きのいい奴等だな?盗賊にならねえか?」

「ならねえよ」

「そうか残念だ」

 思ったよりも早い剣捌きでこっちを翻弄するが、そんなのには慣れている。首を落とすとシールドバッシュで伸びている男を起こしてアジトを吐かせる。

 アクアと2人でアジトに行くとそこに居たのは囚われた人だけで金貨なんかも置いてある。と思ったら隠れてこっちを狙っていたやつを捕まえると首を刎ねる。

 一応残していたんだな。

 この中に御者ができるのはと聞くとおっさんが手をあげたので下にいるアースと合流する。

 アースは馬に餌を与えていた。


 アースと合流するとアクアにも御者を習ってもらうために一緒に乗って、違法奴隷の人はさっさと解呪しといた。何人かは借金奴隷だと自分から言って来て買ってくださいと懇願してきたが断った。

「ヒロトさん。この先に村があります」

 御者のオッチャンからそう言われてみると村があったのでそこで借金奴隷は売ることになるが、村じゃ売れないだろうと次の街まで一緒に行くことにする。

 宿に大人数で宿泊してオッチャン達も次の街まで行きたいとのことだったので引き続き御者を頼んだ。


 次の街までは3日かかった。

 違法奴隷はそのまま解放して大事なものは返してあげた。借金奴隷は街の奴隷屋に売ることになった。盗賊の首はまた2日待てとのことだったので待つことになる。おっちゃんに荷馬車を譲ってあげた。おっちゃんは商人らしく一から出直すと言っていた。

 荷馬車を売った代金で商売するみたいだ。


 ここは思ったよりでかい街みたいで奴隷も盛んに使われていた。宿に泊まりに行くと荷馬車を預けて街を散策する。カフェに入り残りのエクレアを出すと喜んで食っていた。

 

 魔法屋に行きめぼしい魔法がないか確かめるが持っている魔法ばかりだったが、アースに土魔法のオーブを割らせると覚えたらしくやはり地属性の人種か何かなのだろうと思った。あとはアクアが生活魔法を覚えたくらいかな。


「おらエクレアのためならなんだってするだよ」

「私だって!」

「エクレアの代わりを探しとくからそれまでお預けだな」

「「がーん」」

 そんな表現今時しないだろ?


 日本に帰って似たものを探すとケーキ屋に行く種類があるからケーキでいいかと何種類も爆買いしておく。シュークリームもあったので買っておく。

 これであいつらも喜ぶだろう。


 久しぶりに日本の居酒屋に行って酒を飲む。エールに慣れてきたせいか旨味が違うな!

 伊藤の話をしている団体がいたので聞いていると伊藤の偉大さを語っていたので嬉しくなった。


 帰る途中で捨て猫を拾ってしまった。

 なんでもかんでも拾ってはいけないが放って置けなかった。

途中のコンビニで猫缶なんかを買い、家に帰って与える。こんなに人懐っこい猫なのに捨てるなんてな。

 種類を調べると錆猫だった。次の日に動物病院に連れていって避妊手術などをしてもらう日程を決めてそれまで猫と遊ぶ。

 全て終わったのでクローゼットに入ると入ってきた。異世界に猫がいけたのだった。

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