第37話 悪魔王
昨日は本当に楽しくていい日だったのに、今日は朝から最悪だな。
「Aランクのジン様のいうことだぞ!聞いといた方がいいぞ!」
「はぁ、俺もAランクだぞ?」
冒険者証を見せると奴隷は人にいいに行ったみたいで俺のところにくると、
「お前みたいなAランクは見たことないがどこから来た?」
「王国だが?」
「あはは、王国ならどんな奴でもAランクに上がれるのか?いいからさっさと昨日の菓子をよこしな」
「それは俺に喧嘩を売ってるんだな?」
「は?何言ってんだ?菓子を寄越せと言ってるだけだろうが」
「はぁ、もう無い」
「嘘だ!菓子を寄越せ」
剣を突きつけてくるジンの後ろに立って首筋にサバイバルナイフをつける。
「誰に向かって言っているのかあの世で分からせてやろうか?」
「…わ、わかった。降参だ」
「ふぅ、めんどくさい」
ジン達は逃げていった。
「さすがヒロト様」
「ヒロトでいいよ」
「は、はい」
リリーは魔物と戦わせてレベルを上げる。
「や、やりました」
「よし、上出来だ!」
解体も併せて教える。
「うん、もう大丈夫だね」
「まだまだです」
「大丈夫だよ。リリーは頑張り屋だからね」
「は、はい」
もう教えることは教えたし、あとはゆっくりやっていけばいいさ。
「よう!」
「ようイージ、何してんだ?」
「俺も鍛えてもらおうと思ってな?」
「それでか?」
木剣に貼り付け併せたような防具だった。
「だめだ。ちゃんとした防具と剣を買いに行くぞ」
「えっ!でも!」
「金は俺が出してやる、リリーと一緒に特訓だ」
「や、やった!」
その後、防具屋と武器屋に寄って装備を変える。
「んじゃ、よくリリーの動きを見とくんだ」
「は、はい」
リリーは、ひょいとかわすとクビを斬る。すかさず周りを見て来ないことを確認してから解体に入る。
「解体もよく見ておくんだぞ」
「はい!」
さすが情報を聞き漏らさないようにしてただけあって教えたことはすぐ真似できるようだ。解体は苦手みたいだがな。
「んじゃ、ギルドに戻るぞ?」
「えっ?でもまだ」
「多分一雨来そうだからな」
遠くに雨雲があるのがみえる。
「はい」
そうしてギルドに戻るとキラーラビットの討伐金と、解体したものを引き取ってもらう。これで銀貨五枚にはなる。
そして雨が降って来た。
スコールのようなものだろう。
「よくわかるな!」
「遠くに雨雲が見えたからな」
イージが驚いていた。
するとビチャビチャのジンが入って来た。
「お前が欲をかいてまだいけますっていうからだろ!」
「はい!すいません、すいません」
「ったく役立たずが!」
足蹴にしているがそれでも奴隷はついて行くしか無いのか。虚しいな。
それから一か月はイージとリリーの特訓をしてあげ、ランクもDへと上がった。
「そろそろ次の街に行くよ」
「じゃあ俺らも、なぁ!」
「そうですよ」
「いや。一人がいいんだ、もう二人なら大丈夫だろ?」
「そんなんいやだね」
「イージ、私も嫌だけどこれはヒロトさんが決めたことよ」
「クソッ!行きたきゃ行けばいいさ!」
「イージ!なんて事言うの!私達の為に一か月もいてくれたのに!」
殴られたイージは泣いていた。
「悪かったよ。でもまた会えるよなぁ!」
「あぁ、また会えるさ」
「俺はそれまでにAランク冒険者になってるからさ」
「わ、わたしも」
「そうか。夢ができたな」
「「うん」」
「それじゃあ二人とも元気でな!」
「あぁ!ヒロトも元気で!」
「ヒロトさんありがとうございました」
二人に見送られて今度は南東へ行く。
最後までイージだったなと笑いながら走って次の街を目指す。
街道が森に入ると嫌な気配がする。
悪魔かな?と一瞬思ったが近く寄るにつれてその要望がはっきりしてくる。
『誰だ』
血だらけの獣が横たわっていた。
「俺はヒロト、旅人だ」
『ならばさっさと居ぬがいい』
「ヒール」
『なっ、何をした!』
「いや怪我してんだろ?治しただけだ」
『そんな馬鹿な!あれは…ありがとう、礼を言う』
「そんなに硬くならなくてもいいぞ?」
『いや、我はもう死ぬところだった』
「誰にやられた?」
『この国悪魔だ。流石に多すぎて疲れてしまってな』
「まーた悪魔かよ!でこの取り囲んでるのが全員悪魔か!」
『うぬもわかるか?これは厄介だぞ』
「はぁ、背中は任せた」
『任された!』
俺と獣は互いに協力して悪魔を灰に変えて行く。
『やるでは無いか!』
「そっちこそな!」
30分とかからずに悪魔どもを片付けてしまう。
『助かった』
「お互い様だろ」
『我はコタロー、前の主人がつけてくれた』
「俺ヒロト、旅人だ」
『前の主人と同じ匂いがするが少し違うのぅ』
「俺と同じで異世界から来たのかもな」
『おぉ、その異世界とやらから来たと言っておったわ』
「でどうした?」
『悪魔王に倒されて死んでしまった』
「何だそいつは?」
『悪魔達の王だ。今は前の主人の皮を被ったな!』
悔しそうにするコタローは一瞬牙を剥いたが落ち込んでしまった。
「今はなぜ追いかけられてたんだ?」
『我だけ逃げ延びた。主人の命令だ。だが悪魔は執念深い。ここで最後だと思ったのじゃが助けられたな』
「そんなに強いのか?」
『我の主は我より強かった』
「よし決めた!俺が倒して仇を討ってやるよ」
『やめた方がいい!ワシとお主じゃ同じくらいしか』
「だから修行の旅に出かけるんだろ?」
『修行の?』
「ああ、魔物を倒して強くなってそいつに勝てるほどになってやる」
『なるほど。悪魔もワシを追ってるから倒せばまた強くなれるな』
「あぁ、一石二鳥だ」
『ここから南西の方角にある寂れた城が悪魔王の住む悪魔城じゃ』
「じゃあ俺達は北東に進みながら強くなろう」
『あぁ。よろしく頼むのじゃ』
「あぁ、よろしくなコタロー」
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