第35話 リリー


 ここで扱っているのは合法奴隷というもので借金の方に売られた借金奴隷に犯罪を犯した犯罪奴隷がいる。犯罪奴隷は鉱山奴隷と言われて鉱山に採掘に行くのが普通だそうだが、戦闘奴隷として使えるものは残しているそうだ。

「こちらがうちの奴隷達です」

 貫頭衣と言う服を着た奴隷が六人いた。

「へぇ、普通の人ばかりだと思うがな」

「税を納めるために売られた奴隷や、ギャンブルで負けた奴隷もいますね」

 鑑定すると一人悪魔が混じっていた。

「鑑定すんじゃねぇよ」

「こら!お客様に対して失礼なことを言うんじゃない」

 悪魔も奴隷になるんだな。

「奴隷をお買い上げで?」

「いや、決めかねているところだ」

「それではこの子なんかいかがでしょうか?税の代わりに親に売られた子で、借金も少ないです」

「借金はいくらあるんだ?」

「この子で大金貨一枚ですね」

「そんなもんで奴隷になるのか?」

「借金は借金なのではい」

 奴隷というものを知るためにはいいかもな。

「それじゃその子を」

「わかりました。それではこっちにおいで」

「…はい」

「爺さんは何かを唱えるとその子が苦しみ出す」

「終わりました」

「今のは魔法か?」

「そうです。奴属魔法と呼ばれるものです」

 魔法屋にも寄ってみたいな。

「ご主人様よろしくお願いします」

「あ、あぁ、ヒロトだ」

「私はリリーです」

「それでは衣食住と、借金の返済に充てる額を決めて返済が終わりましたら奴隷から解放です」

「でいくらだっけ?」

「大金貨2枚です」

 大金貨2枚を支払い。リリーとイージを連れてまずは服屋に来た。

「俺は金を出すから服と靴、必要なものを選んできなさい」

「はい、ご主人様」

 ご主人様という響きが嫌である。

「ヒロトでいい」

「はい、ヒロト様」

「んー、まぁいいか、言って来な」

「はい」

 動きやすいパンツスタイルの服を着て靴もブーツにしたみたいだ。

 これでいいみたいだな。

「次は食だな!いい店知ってるぜ!」

「ならそこへいこうか」

「はいヒロト様」

 うーんむず痒い。


 連れてこられたのは街の中華屋みたいなところだ。

「オッチャンスタミナ定食三人前」

「あいよ」

「お前も食うのかよ」

「いいだろ?」

「いいけどよ」

 ガツガツ食うイージに対して味を確かめるように食べるリリー。

「どうしたんだ?」

「いや。初めて美味しいものをいただいて感謝しております」

「そうか?まだ美味いものなんてたくさんあるぞ?」

 イージが口を出す。

「ウチが一番だって言ってるだろうが!」

「あー、そうだった、悪いオッチャン」

「ったく」

 そういいながら料理をしている。

「まぁ、気に入ったのなら良かったよ」

「はい!」


 次は住だ。

 基本奴隷と一緒じゃないといけないらしくて二人部屋だ。

「明日から冒険者をやろうと思うがついてこれるか?」

「はい!何でも頑張ります」

「よし、その息だ!」

 フンスと鼻息荒くしているリリーに防具と剣くらい買ってやらないとな。


 というわけで防具屋に来て防具と武器屋に行って短剣を買う。

 さて、何を受けようかな?

「ちょいとごめんなさい」

 スッと前に入ってくる昨日の奴隷。

 レッサードラゴンの依頼を取ると颯爽と主人の元へ行き受けるかどうかを聞いている。

 俺はグリーンドラゴンでいいかと紙を取り受理してもらう。

「さっさと行こうか」

「はい!ヒロト様」

 歩いて外に出て行く。

 走ればすぐに着くのだが、

「背中に乗れ」

「え!そんなこと」

「いいから時間の節約だ」

「は、はい」

 俺はリリーをおぶって走りだす。

 グリーンドラゴンの目の前に止まるとリリーを下ろす。

「ひっ!」

「大丈夫だ」

 右足を切り落としてでかい図体のグリーンドラゴンは体制を保てなくなる。

「ほら攻撃してみなさい!」

「は、はい!ええい!」

「よくできたな、じゃあ倒すぞ」

 首を刎ねてアイテムボックスに入れると倒れるリリー。レベル酔いかな?右足もアイテムボックスに入れてリリーをおぶって走ると、途中で目が覚めたらしい。

 鑑定すると、

 リリー レベル30

 と出ているのでしばらくは冒険者が出来るくらいになっただろう。

 リリーを下ろしてこれからは好きに生きるといいという。

「ヒロト様は凄いですね」

「普通だと思うけどな、少し短剣術を練習してみるか?」

「はい!」

 少し訓練しただけでキラーラビットを倒したので解体も教えてやる。

「んじゃ帰るか」

「はい!」

 街へと戻るとギルドに向かい討伐確認のために現物の右足を出す。全部は出せないのでどうするという話をすると奥の解体場ならなんとかというので行ってみるがここじゃどうみても入りきらない。

「よほどでかい地龍だったんですね」

「あぁ、まあまあだぞ?」

 解体職人がギルドから出て門の外に集まると地龍を出す血も材料になるため桶にいっぱい

 血が溜まるのをせっせと運んでいる。

 地龍の解体を初めてみた俺はちゃんと勉強するようにとリリーに言って俺も勉強する。

竜玉というものがあるのを初めて知って、それは俺がもらうというと残念がっていた。

 

 総額大金貨千六百枚の大商いになったがもう一匹アイテムボックス に居るんだよな。


 一太刀入れたということで大金貨九枚を渡すと、

「私なんて何もやっていないですしおしえてもらってばかりで」

「いいんじゃないかな?別に奴隷が欲しかったわけじゃないし」

「じゃ。じゃあ。なんで?」

「んー。興味本位かな?だめ?」

「…ダメではないですが」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る